コロナショック・北海道の物流業界の動き③〜早期収束に祈るのみ

新型コロナウイルスの感染拡大が進む北海道で、経済全般への打撃が続き、物流業界でも懸念が広がっている。全国で唯一、「緊急事態宣言」が独自に出され、感染者数も3月14日時点で144人と全国で最多を数える。道では緊急事態宣言を発表後、週末の外出自粛を3週連続で要請、「見えない敵との先が見えない戦い」が続き、物流業界からは「祈るしかない」との声も出ている。

JR北海道では3月の売上高を近距離便は前年の約55%、都市間の便は同じく約33%と見込んでおり、人の移動が例年の2分の1、3分の1の水準に落ち込む見通しを立てている。道内バス最大手の北海道中央バスでは定期観光バス全コースの3月中の運休を決定。百貨店の札幌丸井三越は同14日、従業員1人が感染判明したため、「丸井今井札幌本店、札幌三越、その他後方施設」を翌日、全館臨時休業とした。
新型コロナの影響により既に需要が急減している飲食、宿泊、イベント、交通等の業種では、経営基盤が弱い企業の事業継続が危惧され、倒産の事例も出始めている。
一方で、食品スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの大手チェーンでは、従来通りの消費が続いている。

物流業界での影響は様々だが、共通するのは「コロナの早期収束」への祈りだ。

加工食品を扱う事業者は「外出自粛が丸2週間続き荷動きは旺盛、小売店では品薄が続いているようだ。直接的に大きな影響は当面なさそうだが、今後、多くの業種で厳しい状況が続きそうなので、長期的にどのように業績に波及してくるか読めない」(札幌市の事業者)としており、農業資材を扱う事業者は「これから輸送需要が増える時期だが、コロナの影響で農産物の生産が縮小するとは思えず、業績悪化には至らないと思う。ただ、飲食店の大量倒産などが発生し、農産物の販売先が減る状況になるなら、回り回って影響が出てくる。正直、今はよくわからない」(同市の事業者)との反応。また、宅配を行う軽貨物事業者は「アルコール消毒などに気を使うようになったが、荷動きは特に変化はない」(同市の事業者)としている。

一方、住宅設備を扱う事業者は「2月から中国からの部材の納入が滞り、施工が大幅に遅れている現場が多数ある。これが今後も続くと売上が落ち込むことは必至」(同市の事業者)、飲料を扱う事業者は「この時期は例年、飲食店などでの需要が伸びるが、会合やイベントがほぼ中止となり、荷動きは落ちた。4月以降もこの状況が続くようなら厳しい」(同市の事業者)との声もある。

「当社は大きな影響はないが、今後もコロナ拡大と経済活動の縮小が続くようなら、北海道は東日本大震災(2011年)、北海道胆振東部地震(2018年)を上回り、北海道拓殖銀行の経営破綻(1997年)以来の経済危機に陥るのではないか。当然、物流業界にとって良いことは一つもない。3月19日に、北海道が緊急事態宣言の終了を発表するかが一つの試金石となる。今後については、神のみぞ知るという世界で、祈ることしかないのではないか」(札幌市の事業者)との声も出ている。

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