日本政策投資銀行(DBL)は6月7日、「地域公共交通における新たな動き~貨客混載を中心に~」と題した調査レポートを発表。
北海道の事例として、2016年8月に実証実験を行い、同9月から本格的に行われている十勝バスとヤマト運輸が足寄町、本別町で進めている貨客混載の事例を取り上げている。
地方圏を中心に、多くの公共交通事業者が利用客の低迷により厳しい損益を余儀なくされており、特に人口減少が進む地域においては、路線を維持できずに廃線に至るケースが継続的に発生しており、一方で、地域公共交通および地域物流の担い手となるドライバーは、高齢化と採用難が続いており、さらに地域物流については、過疎地等における配送効率が著しく低い等、地域公共交通と地域物流は多くの課題を抱えている。
このような状況の中、公共交通の空きスペースを有効活用して荷物を運ぶ、貨客混載の取り組みが近年注目を集めているとし、同レポートでは、バス・鉄軌道10事例について調査を行うことで、貨客混載のメリット、課題と対応を整理するとともに、今後の活用の可能性について検討している。
十勝バスとヤマト運輸の事例は、ヤマト運輸の陸別町向けの宅急便を足寄町で十勝バスの路線バスにに積み込み、陸別町の十勝バス駐車場まで輸送した後、ヤマト運輸に引き渡している。足寄町と陸別町の距離は約35Kmで、沿線人口が減少する中、赤字拡大を余儀なくされていた路線だった。
この取り組みの効果として、十勝バスにとっては「新たな収入の確保」、ヤマト運輸にとっては「トラック走行距離削減によるCO2排出量削減」。地域住民にとっては「バス路線維持による生活基盤の維持」「ヤマト運輸セールスドライバーの各地域での滞在時間の増加によるサービス向上」などにつながっていると報告している。