北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長=千葉博正・札幌大学名誉教授)の14回目の会合が3月11日、ホテルノースシティで開催され、今年度取り組んだ食品スーパーに向けた生鮮野菜輸送に関する「実証事業」の結果が報告された。
実証事業は、発荷主として矢澤農園(上川郡)、着荷主としてスーパー大手のラルズ(札幌市中央区)、運送事業者として北海道フーズ輸送(同西区)が参画。キャベツ、ブロッコリーの輸送において、ドーリー、パレット、オリコンなどの輸送容器・機器を新たに活用し、ドライバー、センター内、スーパー店舗の作業時間と生産性を検証した。
東川町の農園から出荷し、石狩市のラルズ生鮮食品流通センターを経由し、ラルズマート啓明店、ラルズストア平岸店、ラルズマート美園店へと配送するスキーム。
これまで、ドライバーは手荷役作業を行い、センター内では保管・仕分けに係る運搬作業、スーパー店舗では保管・品出しに係る運搬作業が負担となっていた。
実証事業では、①「商品をドーリーに積み替えてトラック庫内、センター内、店舗での品出し作業まで一貫して行う」、②「商品をパレットでトラック庫内に積み込み、センターへの納入する」、③「鮮度保持のため『発泡スチロールと氷』で梱包していた商品を『オリコンと鮮度保持フィルム』に切り替える」ーという3項目の実験を行った。
結果、ドライバーの荷役時間は最大約1時間24分、センター作業は最大約1時間10分、店舗でのキャベツ・ブロッコリーの品出しはともに最大約10分、それぞれ短縮した。
また、作業負担の軽減も確認され、「バラでの手積み手卸しはかなり重労働だったので、パレット・ドーリーの活用は身体的にかなり助かった。新人が長続きしない状況も改善するきっかけになると思う」とするドライバーの生の声を紹介、「荷役作業時間削減以上に身体的負担軽減の効果が大きい」という評価もあった。
一方、「輸送容器の活用によるトラックの積載率悪化」「オリコン輸送による鮮度悪化」「着荷主の求める商品の梱包形態が統一されていないため、作業ラインが複数になる」といった課題が挙がり、これに対して「配送量の平準化」「輸送容器に適したサイズのトラックの活用」「様々な条件での鮮度保持効果の検証」「梱包形態の標準化と梱包ラインへの投資」といった改善策が示された。
今後の方向性として「新たな輸送用機器・容器の導入により、荷役作業時間短縮や身体的負担軽減が可能であることを周知し、生鮮食品輸送における課題解決を進める」ことを挙げた。
北海道労働局の上田国士局長は「昨年からのコロナ禍により、経済・雇用に大きな影響が続いている。ドライバーの時間外労働の上限規制の開始まで3年となり、改善基準告示の見直しもスタートする。ドライバーの長時間労働の見直しには、トラック事業者だけでは難しく、荷主を含めた周りの協力が不可欠。今回の実証事業は大変有意義だった」と述べたほか、「来年度から、北海道と協力し、大型免許に対する職業訓練を始める」とアナウンスした。