北海道経済連合会は、北海道と本州間の物流の重要性、代替性の確保という観点から「青函物流」の問題点などを検討するプロジェクトチームを組成し、そこで協議した内容を「青函物流問題の解決に向けて〜青函物流プロジェクトチーム報告書」に取りまとめて発表した。同会のHP上に4月17日に公開した。
青函物流は現状、「海上輸送」と「青函トンネル経由のJR 貨物」が担っているが、「トラック輸送は、海上輸送を伴うためコスト高」となり、「JR 貨物輸送は、北海道新幹線との共用走行問題の解決」が大きな課題となっている。
「青函の物流問題を解決しなければ、北海道の食関連産業のポテンシャルをフルに発揮できない」との観点から、主に「第二青函多用途トンネル」「JR貨物による北海道本州間の貨物輸送を海上輸送で行う」可能性について、ケーススタディにより検討した。
長期的な解決策である「新たな青函トンネル(道路)」の建設の可能性については、想定される工事期間が15年と長期にわたるため、「建設については公的主体が担う必要があるものの、完成後の運営についてはコンセッション方式によって民間が担うことが可能とした。
また、新たな青函トンネルが実現できれば、「青函物流の相当な物量を吸収可能で、北海道新幹線青函共用走行問題解決の一手段となり得る」とし、「経済波及効果も相応に確保可能」と推定。しかし、「通行量が想定通り確保可能か」「資金を国が一旦拠出しなければならない」「高速道路との接合部分は国が整備しなければならない」といった課題を残すとした。
短・中期的な対応策である「JR貨物が担っている貨物量を海上輸送(フェリーと RORO 船)で代替」する可能性については、現状の余裕輸送能力で輸送する可能性は非常に高いとの結論を得た。しかし、農産物などの輸送繁忙期にあたる9月・10月は積み残しが発生するとし、この時期の輸送量の平準化の為には「保管倉庫の整備」や「販売方法の変更」などが必要であり、また「船舶量増加には船会社の設備投資が必要」となるとした。
また、「コンテナ台車の整備」「輸送コストの増加」「輸送時間の制限」も課題として考えられ、別途検討の必要があるとした。