JR貨物北海道支社(木暮一寿支社長、札幌市中央区)の営業部に勤務する堀井翔平氏は5月6日、北海商科大学で相浦宣徳教授が担当する「物流システム論」で「北海道と貨物鉄道ネットワーク」と題して学生に向けて講義を行った。
堀井氏は「北海道の人口は約530万人だが、1000万人分以上の食料を生産・出荷しており、純然たる日本の食料基地。当支社が扱う貨物を見ると、それを強く感じられる。年間で片道約250万㌧、往復で約500万㌧の貨物を扱い、北海道から移出される農産品や食工品の多くを運んでいる」と紹介。
北海道は食料生産が可能で、廃棄物の処理も道内で全て賄え、これらに関する物流網も発達しており、発電所やガス貯蔵施設も有していると説明し、「独立国家として歩むことができる環境を備えている。一方、モノの移出入の依存度が高く、物流が停止してしまえば、重大な危機に直面する」と強調した。
また、北海道新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線(函館線の小樽〜倶知安〜函館間)の第三セクター化の問題に言及し、「JRから切り離されるこの路線は、収支が大幅なマイナスになると予測され、路線をどのように維持するかが大きな課題となっている。この路線が消滅し、貨物鉄道が通れなくなると、北海道の物流にとって大きな打撃となる。鉄道で現在運んでいる貨物量は、他の輸送モードで代替できる量ではない」と述べた。
このほか、「東日本大震災における石油の迂回輸送」「平成30年7月豪雨による山陽線の被災に伴う迂回輸送」「平成12年有珠山噴火による室蘭線の被災に伴う代替輸送」など、災害による鉄路寸断事例とその対応について紹介し、「生産物・人口分布・交通インフラ・リードタイム・都市機能」などを考慮して、「北海道に大打撃を与える物流網の寸断箇所として最も効果的な箇所」を指定するよう課題を出した。