道内初「冷凍自販機向け物流サービス」スタート アイビック食品・北海道物流開発

非対面・非接触による商品流通のニーズが高まり、全国的に冷凍自販機が爆発的に普及している。それに伴い、「冷凍自販機向け商品の在庫管理・配送」といった新たな物流サービスが求められている。

業務用たれ・だし・スープ製造などを手がけるアイビック食品(牧野克彦社長、札幌市東区)は冷凍自動販売機を2台導入し、7月10日より、人気のフィッシング&アウトドアショップ「コルソ札幌」(同手稲区)で商品の販売を開始、非対面で24 時間販売を行う。自販機はサンデン・リテールシステムの冷凍自販機「ど冷えもん」を活用し、同8日に店舗に設置した。

アイビック食品では、コロナ禍で苦境に立つ外食業界への応援の取り組みを行っており、今回の冷凍自販機の運用もその一環。DX 推進課の藤原宏之課長は「コロナウイルスの影響を受け困っている多くの飲食店・食品会社の販路拡大のために何かできることはないかと考え、今回のプロジェクトを2カ月ほど前に立ち上げた。自販機では、取引先の商品を中心にユーザーを飽きさせないよう一定期間で入れ替え販売していく。アウトドアショップに設置する特性を活かし、1台にはキャンプやBBQに合う商品を多く取り扱い、もう1台は家庭に持ち帰って食べられる商品やスイーツなどをメーンに販売する予定」とする。

冷凍自販機は今年度より、全国的に急速に設置が増えているが、今回の事例の大きな特徴は、「自社商品ではなく様々な店舗・企業の商品を取り扱うこと」と「保管・仕分け・配送などの物流オペレーションを外部に委託すること」だ。

サンデン・リテールシステム北海道支店の饗庭久弥支店長は、「これまでは、店頭や食品工場など製造拠点から直ぐ近くに設置し、自社商品を販売するケースがほとんど。商品補充も店員などが直接行っていた。商品を一旦物流拠点に集め、そこから自販機まで配送をかけるというオペレーションは道内では初事例。全国でもまだほとんど事例がないのでは」と話す。

アイビック食品では、一連の物流オペレーションを北海道物流開発(HBK、斉藤博之会長、札幌市西区)に委託した。
アイビック食品が飲食店や食品会社から商品を仕入れ、HBKが管理する石狩市の物流センターに納入。コルソ札幌のバックヤードにはHBKが可動式冷凍庫「レボクール」を1台レンタルして設置。ここに商品を在庫し、自販機への商品補充は、コルソ札幌の店員が都度行う。物流センターからレボクールまでの配送は、北海道物流開発の管理により冷凍の軽貨物自動車で行う。配送頻度は、自販機の売れ行き次第で効率的なオペレーションを考えていく。

HBK新規事業開発部の佐藤忠部長は、「冷凍自販機の運用では、これまで物流が発生しないことが多かったが、今回、保管・仕分け拠点を経由し、多くのメーカーの商品を共配するというスキームを初めて構築した。今後、売れ行き次第では、商品を満載したレボクールごと交換するというオペレーションになる可能性もある」と話す。

サンデン・リテールシステムの饗庭支店長は「冷凍食品ということで、自販機でも消費者は安心感を持って購入している。導入企業も商品の廃棄リスクが低く、かつ、24時間人件費をかけずに販売できる。現在、自販機導入に対して驚くほどの引き合いがあり、また、導入した企業でも驚くほどの売上となっているケースもある。道内では、それまでテイクアウト販売をしていた時と比べ、自販機で月間数十倍の売上となった事例もある」と述べ、「冷凍自販機による商品流通は、一時の物珍しさではなく、根強い需要があると考えており、今後も様々な場所に設置されると予想している。専用の物流サービスも今後、より求められてくる」としている。

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