北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長・千葉博正札幌大学名誉教授)は9月7日、今年度初、通算15回目の会合を札幌第二合同庁舎でオンライン併用で開催した。
今年度は調査事業として、大手食品スーパーの店舗配送を対象とした「加工食品の輸送」について実証実験を9月から11月にかけて行うことを確認。ドライバーの長時間労働解消や生産性向上に効果的な施策や指標を取りまとめ、他の事業者の参考となるよう示す予定。
調査は、発荷主が道内の問屋等、着荷主が道内スーパー大手アークスグループのラルズと東光ストア、運送事業者としてエア・ウォーター物流が協力する。
三菱食品がラルズ・東光ストア向け物流センターを統合し、配送システムを全面的に転換したことを契機とし、加工食品の物流にかかる「待機時間や荷役時間」「従事人数や配送車両数」等の変化を調べ、課題の洗い出しや、さらなる改善に向けての検討を進める。
従来は、ラルズ70店舗に55台、東光ストア30店舗に13台の配送車両を充て、それぞれ異なる物流センターを活用していた。この配送車両を68台から26台に削減する。
また、仕分け作業等の自動化により、店頭での検品作業を廃止、置配を行う。このほか、全店舗一律で早朝納品をしていたものを、近郊店舗は午前・午後の2回納品、地方店舗は午後納品に変更、ドライバーの深夜早朝出勤を解消する。配送ルートの見直しに伴い、帰り便による発荷主手配の荷物の集荷も行う。
これら「配送車両削減」「深夜早朝便の廃止」「配送先での検品作業の廃止」「置配の実施」「配送・集荷一括輸送」などの効果を検証・分析する。
北海道運輸局の加藤進局長は「トラックドライバーの時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるまであと3年を切っている。ドライバーの労働時間抑制は、待機時間や付帯作業など運送事業者だけで解決はできず、発着双方の荷主の協力が不可欠。今年度は加工食品の輸送について調査事業を進めるが、これは決して『大規模な設備投資が可能な大手事業者だから取り組める』というものではない。業務の構成要素を分解していくと、多くの事業者にとっても参考となる事例はあると考えている。効率化で空いた時間は、違う業務に充てられるほか、配送の仕組み全体の見直しに取り掛かる余裕も生まれる。ドライバー不足により物流が滞る事態が起きないよう、意識を共有しながら取り組みを進めていきたい」と述べた。