北海道物流開発(斉藤博之会長、札幌市西区)は、物流の生産性向上に資する各種資器材の活用を積極的に提案している。
これら資器材を物流における新たな「モジュール(基本単位)」と見做し、同社では「モジュール・ボックス・ユニット(MBU)」と呼称。MBUを広く普及させ、物流現場での「手積み手卸しの解消」を目指すとともに、IoT化を進めることで、将来的には「過疎地域への継続的な商品供給」や「物流主導による商流プラットホームの確立」を視野に入れている。
同社は11月に北海道最大級のビジネス展示会に出展し、「俺たちの北海道物流改革」とのコンセプトを打ち出し、各種資器材を紹介。MBUを活用した物流のあり方を広く示した。
従来導入を進めてきた「施錠・開錠など遠隔操作機能付きコールドロールボックス(CRB)」、「プラスチック製軽量コンテナ」、「三温度帯可能な自販機」、「軽車両にも積載可能な小型貨物ローダー」をはじめ、新たに11月に導入した「軽車両で牽引できるカーゴトレーラー」などを一同に展示した。
CRBや軽量コンテナは、軽車両にも積載可能な貨物ローダーによる荷役ができ、これらを活用した輸送・保管を道内で広く普及させることで、物流の人材不足・長時間労働の大きな要因となっている「バラ積み・バラ卸し」の解消を進めたい考えだ。
同社では具体的に、トラック1台をチャーターするほど荷量がないエリアへの商品供給において、「地方部を運行するトラックの空いている荷台スペースにCRBや軽量コンテナを混載する」、「車両に貨物ローダーを積んで運行し、マテハンが揃っていない拠点でCRBやコンテナなどの荷役を行う」といった運用方法を紹介。また、「トラックの荷台に三温度帯の自販機を設置し、買い物が不便な地域に商品を供給する」、「軽車両でカーゴトレーラーを牽引し、ドライバー1人で軽車両2台分の荷物を運ぶ」といった活用シーンを紹介した。
同社では併せて、MBUのIoT化を進める構想を掲げている。MBUを各種データ収集のデバイスと見做し、それぞれ位置や温度、積載・在庫・販売の状況、気象や道路状況などをリアルタイムで取り込み、これを分析し、生産・保管・販売などサプライチェーン上の様々な拠点に必要な情報をフィードバックする。多様なデータを需給予測・物流マッチング・物流予約といったシステムと連動させ、MBUの効率的な積載や配車、人員配置・作業工程の管理などに反映させるほか、物流のみならず、商品の受発注や生産・販売の計画にまで反映させることで、サプライチェーン全体で無駄を削り、「地域の商流プラットホーム」の構築を視野に入れている。
同社ではこういったMBUの運用は、とりわけ人口減少や過疎化が進む地方部での商品供給・物流網の維持に寄与できると捉えており、「物流量が少なすぎて運んでも利益が出ない」、「物流コストが割高で販売価格を上げざるを得ない」、「非効率な物流がネックとなり地方部に商品供給をしたくない」といった道内の多くの地域で近い将来懸念される状況を改善できると考えている。