北海道地方協議会 オンラインで開催 スーパーへの「加工食品等の輸送」実験結果報告

北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長・千葉博正札幌大学名誉教授)は2月24日、オンラインで16回目の会合を開催し、大手スーパーのアークスグループの「加工食品・飲料の店舗配送」についての実証実験の結果を報告。この実験を次年度以降も継続することも確認した。
 
アークスグループは昨年6月に配送スキームの転換を行い、これにあわせて実験を実施。
発荷主として加工食品ベンダー18社、配送センターの運営が三菱食品北海道、元請運送事業者がエア・ウォーター物流、着荷主としてアークスグループ(札幌圏のラルズ・東光ストア100店舗)が参画した。

従来は、「各ベンダーが店別仕分けをしてトラックを手配しセンターに納品、12時までの発注で当日店舗に納品する」体制だったが、これを「店舗配送トラックがベンダー引取しセンターに納品、店別仕分けをセンターで行い、発注翌日に店舗配送する」形式に大きく切り替えた。併せて、店舗別自動仕分けが可能なマテハンをセンターに導入した。

実験の結果、リードタイム延長で複数店配送が増え効率的なルートでの運行が可能になったほか、ベンダーへの引取によりサプライチェーン全体の走行距離が減少した。トラックの走行距離はトータルで13.3%減少、実車率は 4.6%、積載効率は14.7%それぞれ向上した。
また、ドライバーの付帯作業時間は1日あたり1人10分、拘束時間時間は同じく78分、必要運転手延べ人数は50人以上それぞれ減少するという試算が得られたほか、ベンダー側でも、仕分けと納品にかかる作業量が半分以下に大きく減り、CO2排出量も年間549㌧減少すると示された。

反面、ベンダーや店舗ではセンター・受託フィーが増えたほか、センターでの作業量・コストが増加するなどのデメリットも示された。

実験を受けて、「着荷主・ベンダー・センター・発荷主に至るまでのサプライチェーン全体での調整や、各メンバー内でのセクター間(営業部-商品部-物流部-店舗運営部など)での調整とトータルコーディネーションを行うことが重要」とされ、実験に協力したアークスグループ中核企業のラルズの松尾直人専務は、「小売業界は、店舗や商品部・営業部などの立場が強く、物流は弱い傾向にあったが、効率化を享受するには物流に譲ることも重要。今回はここにメスを入れられたことが一番大きい。これまで物流の不満や改善点がなかなかあがってこなかったが、一緒に話し合える仕組みを作り上げた。物流と対話することが最も重要」と述べた。

同協議会では次年度以降、同取り組みのブラッシュアップを図り、更なる荷待時間削減や作業効率改善、運転者の体力負担の軽減や拘束時間の削減に繋がる方策を検証してく予定。

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