シンポジウム「津軽海峡経済圏を創る第二青函トンネル構想」

北海道経済連合会は5月18日、函館国際ホテルで「津軽海峡経済圏を創る第二青函トンネル構想」と題したシンポジウムをオンライン併用で開催した。北海道商工会議所連合会、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)との共催。400人以上が参加・視聴した。

道経連青函物流プロジェクトチームの石井吉春座長(北海道大学公共政策大学院客員教授)とJAPIC国土・未来プロジェクト研究会の神尾哲也委員(戸田建設常務)が講演し、第二青函トンネルの必要性や具体的な構想を説明した。

石井座長は「日本の主要大都市を結ぶ国土軸において、札幌市のみが未だに陸路でつながっておらず、北海道〜本州間の物流コストが割高となっている。道内から移出する貨物は季節繁閑が大きく、移入貨物よりも少ないため片荷構造となっており、道内の物流事業者は低収益を余儀なくされている。トンネルに自動車道を設ければ、青函共用問題の抜本的解決も期待できる」と述べ、「利用料金を現行フェリー料金より相当安価に見積もっても、償却年数以内での投資回収が可能と試算でき、道内経済界が進める未来のプロジェクトではなく、意義のある事業として早期着工を目指した体制を整える必要がある。当初は数兆円の費用がかかるイメージだったが、7000億円あまりで造ることができ、十分に現実的。投資余力があるうちに、着手してもらいたい。北海道の発展のみならず、日本の発展にもつながっていく」と訴えた。

神尾委員は、JAPICが提案する津軽海峡トンネルの概要を説明。これは片側1車線の自動運転車専用の道路と単線の貨物鉄道を併用した延長31㎞のトンネル。約15年の工期で、事業費は7200億円と概算。このほか、アクセス道路の整備、鉄道在来線との接続などを併せて1兆円あまりの事業であり、これによる効果として、「函館〜青森間の所要時間・大型車の物流コストとも半減する」「北海道〜本州間の物流コストが年間314億円削減する」「北海道と青森にもたらされる経済効果は年間878億円に及ぶ」などと紹介した。

道経連の真弓明彦会長は「北海道からの農産品移出の課題は高い物流コスト。東京に向けたトラック輸送では、札幌市はほぼ同距離の福岡市と比べ、3割以上コスト高になる。こういった課題解決に向けて、青函間に二本目のトンネルが必要。今後、国や北海道にも要望をしていく予定で、このような提案を周知し、機運醸成につなげたい」と挨拶を述べた。

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