2050年の北海道の姿を考える懇談会

北海道開発局は6月9日、札幌第一合同庁舎で同局と連携協定を結んでいる企業と「2050年の北海道の姿を考える懇談会」を開いた。

2023年度に策定予定の第9期北海道総合開発計画を検討する材料として、連携協定締結企業から、北海道の将来像や必要な取り組みなどについて意見を聞いた。北海道コカ・コーラボトリングの佐々木康行社長、北海道銀行の兼間祐二頭取、北海道日本ハムファイターズの川村浩二社長、セコマの丸谷智保会長、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長、ヤマト運輸の松井克弘執行役員(北海道地域統括長)、クリエイティブオフィスキューの伊藤亜由美社長が参加し、物流についての課題や要望も多く語られた。

セコマの丸谷会長は「道内の生産空間は広大なため過疎であり、何もしなければ地域が崩壊する危険性がある。地域を残し、その上で振興していくためには、道路網の整備と効率的な物流が重要。2024年問題でドライバーの拘束時間が短くなると、物流コストが上がり、道内隈なく商品を供給することが難しくなる」と述べ、道東・道北方面に建設予定の高速道路の早期整備を訴えた。高速道路整備により、トラックの自動運転や隊列走行が可能となるとし、「雪の問題はあるが、北海道こそ自動運転などの実証実験の早期実施と、特区的な規制緩和を進めてもらいたい」と述べた。
このほか、道内各地にあるコンビニ店舗を物資のストックポイントと位置づけ、過疎化している集落に向けて店舗から配送を行う構想を示した。

ヤマト運輸の松井執行役員は、トラックドライバー不足や時間外労働の上限規制により「このままでは輸送能力の逼迫が予想される」とし、「全ての物流事業者の経営資源を共有し、持続可能なサプライチェーンの構築が重要。多くの企業とアライアンスを組んで、共同配送により積載率を向上させ、輸送能力を最大限発揮できるようにする必要がある」と述べた。
また、同社が2024年から運航を予定している貨物専用機(フレイター)について説明し、「道内のローカル空港をミルクラン方式で運航し、フレイターで生鮮品の輸送を実現できないかと考えている」と述べたほか、同社が抱える道内165拠点のうち、1000坪以上の拠点が16カ所あるため、「ここを災害時の生活物資供給拠点に活用する構想がある」と紹介した。

このほか、北海道コカ・コーラボトリングの佐々木社長は、防災対策の課題として「緊急時に各企業の物流インフラを連携させる共同物流の体制づくりが必要」と意見を述べた。
北海道日本ハムファイターズの川村社長は「スポーツ以外でも、日本ハムグループは北海道を基盤に食の供給を行っており、道路・空港・鉄路など、食の物流整備が重要」とし、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長は、北海道で自動運転やAI配車が実装されている現状を説明し、「人や物のモビリティで積極的にテクノロジーを活用する」必要性を説いた。
クリエイティブオフィスキューの伊藤社長は、江戸時代から明治期にかけて北海道と関西方面を結び、物資や文化の往来に寄与した「北前船」の価値を再発見し、コンテンツとして発信できないかと語った。

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