帝国データバンク札幌支店は8月31日、「円安による道内企業業績への影響」についての調査結果を公表した。7月15日~31日にかけて道内 1143 社に聞き、576社(回答率50.4%)から回答を得た。
「円安が自社の業績にどのような影響があるか」を聞いたところ、「プラス」と考える企業は2.9%にとどまり、「マイナス」と考える企業は66.0%と3社に2社にのぼった。特に「運輸・倉 庫」はマイナスの影響が86.2%と全業種中でもっとも高かった。
マイナスの理由として、「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えた」が 81.1%でトップ。「原材料価格の上昇でコスト負担が増えた」(79.5%)も8割近くで続き、両者がマイナス理由として突出した。
「プラス」の理由では、「海外での販売価格(現地通貨ベース)が下がり売り上げが増えた」が23.5%でトップ。次いで「輸出競争力が高まり輸出が増えた」(17.6%)が続いた。
同支社では「従来、円安は輸出を促す効果を持つことから貿易立国である日本経済にはプラスの影響があると捉えられてきた。しかし現在では、円安の進行が輸入物価を押し上げ、日本の実質購買力を悪化させるマイナスの側面が重くのしかかるようになってきたが現状、これらを具体的に解決する手立ては示されてはいない。今回の調査では、昨今の円安により、運輸・倉庫、専門商品小売、飲食料品卸売などの業界で特にマイナスの影響が大きいことが判明した。現在の円安を抑える即効策は見出せないが、相次ぐ輸入物価の上昇に対しては、減税や補助金の適用条件の緩和といった財政政策で対処することも重要となろう」としている。