倶知安町(文字一志町長)とマーケットエンタープライズ(小林泰士社長、東京都中央区)は12月19日、地域社会における課題解決を目的とした不要品リユース事業の連携を同日よりスタートすると発表した。
同町は、マーケットエンタープライズが運営するリユースプラットフォーム「おいくら」を用いて、不要品を廃棄物として捨てずに再利用する仕組みを構築し、廃棄物削減と循環型社会の形成を目指す。
不要品を売りたい町民が「おいくら」を通して査定依頼をすると、全国の加盟リサイクルショップに一括査定依頼され、買取価格を比較することができる。
同町では、2021年10月より「ごみ分別アプリ」を導入し、適切なごみ分別によるリサイクルの推奨や廃棄物減少に取り組んできた。しかし、巣篭もりや自宅の不要品整理をする町民が増え、清掃センターへ持ち込まれる粗大ごみの量は増加傾向にあった。廃棄物の最終処分場の延命化を図るためにも、廃棄物の発生自体の抑制につながるリユース促進の施策を模索していた。
マーケットエンタープライズは、リユース事業を中心に事業展開しており、「リユース活動促進による循環型社会の形成を目指したい」というニーズが同町と合致したため、今回の取り組みが実現した。
同町では、これまで粗大ごみの収集を行なっておらず、清掃センターへ自己搬入するか、町民が処理費用を支払って民間事業者による回収を依頼していた。清掃センターは、市街地からは離れた場所にあるため、高齢者や車を所有していない町民から「自力で不要品を運ぶのは難しい」という声も寄せられていた。そのため、同町では大型不要品の処分に伴う町民にかかる負担を緩和する対応策を探していた。
同町HP内に「おいくら」の情報が掲載され、直接不要品の一括査定申し込みが可能になる。加盟店との条件が合えば、自宅まで訪問する出張買取も可能で、大型品や重量のあるものでも簡単に不要品売却が可能になる。
同町では「今後は、最短だと買取依頼をした当日に、不要品の売却と受け渡しが可能となる。本取り組みによって、簡単にかつ廃棄ではなく売却という形で不要品のリユースができることを町民が認知することにより、『リユースする』という選択肢が増え、不要品処分やリユースに対する意識の変化、循環型社会形成の促進につながる。町民のサービス利用に関する費用負担はもちろん、本取り組みに関して倶知安町の費用負担もない」としている。
また、「町民が不要品の処分を検討する際に、ごみとして廃棄せず、リユースすることができれば、廃棄物そのものの総量減少が見込まれる。今回の連携により、二次流通の更なる活性化による循環型社会の実現や社会全体での不要品削減が見込まれるとともに、町民・同町双方の廃棄コスト削減による経済的負担の軽減へと繋がる」としている。