ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)と北海道エアシステム(HAC、武村栄治社長、札幌市東区)は8月1日、HACの小型旅客機(ATR-42型)の貨物スペースを活用した北海道内の輸送ネットワークと、ヤマト運輸のトラックや貨物専用機(フレイター)を活用した全国の輸送ネットワークを組み合わせ、離島を含む北海道内各地の特産物・名産品を北海道外へ輸送する実証を7月31日より開始したと発表。
同実証輸送は、ヤマト運輸とHACが同12日に北海道航空港湾局航空課と契約を締結した「航空貨物輸送網強化事業委託業務」の一環として行うもの。北海道内を運航する小型旅客機の貨物スペースを活用し、北海道内の航空輸送ネットワークの維持・拡充や、北海道内を取り巻く様々な物流課題の解決を目指す。第一弾として、離島からの新たな物流網構築に向けて、奥尻島発の実証輸送を行う。また、新千歳空港-羽田空港間のフレイター深夜便を活用したスピード一貫輸送により、北海道内各地の特産品・名産品の販路拡大による地方創生に貢献する。
奥尻島からの実証輸送は、①ヤマト運輸が同島内の生産者から集荷し、奥尻空港にトラック輸送、②HACが小型旅客機の貨物スペースに搭載し、奥尻空港から函館空港を経由して、札幌丘珠空港に航空輸送、③ヤマト運輸が札幌丘珠空港から新千歳空港にトラック輸送、④ヤマト運輸がフレイターで新千歳空港から羽田空港に航空輸送、⑤ヤマト運輸が羽田空港から国内・海外にトラック・航空輸送―といったフローで行う。
これらの取り組みにより、輸送手段の多角化による将来的な輸送力不足や災害などへの対応のほか、現在運航している北海道内各路線の積載率を高め、経済性・環境性向上による航空輸送ネットワークの維持・拡充が可能となる。また、日持ちがしない生鮮品などを主とした北海道内各地の特産物・名産品の北海道外・海外への商流拡大による地域経済の活性化にもつながる。
今後は、実証輸送を行う空港を利尻空港や女満別空港などへ順次拡大する予定。また、小型旅客機に適した輸送資材の開発・オペレーション体制の構築や、自治体や事業者などとの連携強化による札幌丘珠空港と新千歳空港のさらなる活用などを通して、北海道内の航空輸送ネットワークや地域経済の持続的な成長を目指すとしている。