日本政策投資銀行は3月28日、「北海道内の長距離トラック輸送におけるバスによる客貨混載の推進可能性」と題した調査レポートを発行した。
北海道は都市間距離が長いことから、輸送コストは他地域に比べて高く、人口減少・高齢化、2024年問題などの影響もあり、トラック・バス事業者は厳しい経営環境に置かれている。同調査では、リソースが限定される地方部を対象として、バスによる客貨混載の推進可能性について考察。とりわけ、地方部への宅配便の長距離輸送を対象に、都市間バスまたは長距離路線バスを活用した客貨混載によるトラック代替輸送を検討した。
バスによる客貨混載は、「トラック輸送の負担軽減」「CO2排出量原単位の削減」「乗合バス事業者の収益機会の創出」などの効果が期待され、取り組み意義は高いものの、「バスの運行時間に合わせて実施する場合、貨物のリードタイム延長に繋がる」「バスの積載可能量には制限があり、十分な代替性を確保できない」「積み替えに伴う拠点の整備や荷捌き等の作業負荷が発生する」「バス事業者にかかる荷役費負担や追加設備投資負担が発生する」といった難点があると整理した。
具体化に向けて、「中都市間を結ぶ路線、中都市と地方部を結ぶ路線では実施可能性がある」とし、「利用者が配達日の後ろ倒しを選択する代わりに、インセンティブを付与(料金割引など)」「バスによるラストマイル輸送・宅配業務委託」「貨物積載量増加のため、一般貨物運送事業の許可取得や、貨物専用スペース確保に向けた車両改造」「専用コンテナやフォークリフトの活用」「積み替え拠点として『道の駅』の活用」といった施策を提案している。
また、「ヒト・モノ一体での輸送を前提としたルート及びダイヤの選定、車両改造やデジタル化投資、拠点整備などを行う必要があり、輸送事業者の連携・協力だけではなく、サービス利用者も含めた適切な受益者負担を考える必要がある」と主張している。