北海道経済連合会は3月29日、今後の道内物流効率化に資する先進事例6件の調査を行い、「北海道の物流効率化に向けた調査報告書~先進的取り組み事例と物流DX の推進に向けて」と題する報告書としてまとめたと発表した。
同報告書では、「デジタル技術等を活用した北海道の物流効率化」の推進に向け、主に「プラットフォームにおける情報共有化と共通システムの必要性を中心に調査・研究を行い、脱炭素の取り組みにもつなげる」ことを目的として、先進事例について情報収拾・ヒアリング調査を行った。
物流効率化に向けて、解決すべき今後の課題を「トラックドライバー不足・2024年問題に伴う輸送力低下」「積荷の量的・質的変化(小口多頻度化の進行)」「脱炭素への取り組み」―の3点に整理。これら課題解決の参考となりうる先進事例として、①soucoの「物流会社の倉庫と荷主のマッチング事業・倉庫シェアリング」、②日本パレットレンタルの「AI による共同輸送マッチングサービス」、③センコーの「路線バスのように利用できる新たな長距離輸送サービス『物流バス』」 、④北海道ロジサービス/TSUNAGUTEの「製・配・販・輸送をコネクティッド、日本初の滑らかな物流 DX を実現」、⑤北海道開発局/ヤマト運輸の「『道の駅』を拠点とした中継輸送実証実験」、⑥ホクレン農業協同組合連合会の「一貫パレチゼーション輸送」―の6つの取り組みをピックアップし、各事例を道内で導入した場合に期待される効果と展開する上での課題を整理した。
この結果、物流効率化に向けて求められる取り組みとして、①共同輸送の推進(積載率の向上)、②長距離輸送機能の維持、③作業の効率化・省人化、④環境負荷の低減―の4点を抽出。
「北海道は我が国最大の食糧供給基地であり、物流は非常に重要な役割を果たしているが、トラックドライバー不足の影響などにより、このままでは将来、物を運びきれなくなる恐れがある」とし、解決へ向けて、これら4つの取り組みを今後推進していくことが必要だと強調した。
「取り組みを進めていくにあたっては、メーカー(製)、中間流通・卸(配)、小売(販)、 発荷主、着荷主、そして消費者も含め、このままでは物を運びきれなくなるという危機感を共有していくことも必要である。さもなければ、結果的に物流利用者の不利益につながることになる」としている。