北海道経済産業局は北海道運輸局と共催で3月27日、TKPガーデンシティ札幌駅前で「物流セミナー〜北海道の持続的かつ効率的な物流の推進に向けて」を開催。
道内先進事例として、イオン北海道、北海道コカ・コーラボトリンググループ(幸楽輸送)、コープさっぽろグループ(北海道ロジサービス)が取り組み事例を紹介、「荷主と物流事業者の共創」「荷主同士の協調」の重要性が示された。
イオン北海道(札幌市白石区)商品戦略部の石田将物流改革マネージャーは、業務委託契約の見直しを進め、物流にかかる収支をオープン・共有化し、「荷主・荷受・3PLが一体」となり、相互に収支改善に向けてコミットする「オープンブック方式」に転換したと説明。
「荷主自ら変わることで、どこに物流課題があるのか可視化された」とし、「発注リードタイムを前日から2日前発注に変更」「センター納品時間前倒しによるピークの緩和」「店着時間見直しによる車両回転率の向上と使用車両の削減」などに着手、物流の安定稼働につながったと報告した。
更に、荷主にとって「物流は協調領域」だと強調、2月に大手小売企業4社、物流企業7社が集まって「北海道物流研究会」を初めて開催し、協調分野について話し合いを進めていると報告。「従来では考えられなかったが、各社のセンター視察などを行なっている。遠隔地への輸送など、協調領域を広げていく必要がある。ドライバー不足は最大の問題であり、荷主としても非常に影響が大きく、真剣に改善に取り組む必要がある。物流業界の地位を向上させ、若い優秀な人材が働きたい業界にしていかなければならない」と訴えた。
幸楽輸送(同清田区) の不動直樹社長は、コカ・コーラ製品をベースカーゴとして積載率を高め輸送単価を抑える混載輸送や、道内のリレー輸送の有効性を紹介、「物流のみでの最適化は難しい。多くの立場の人と協力していく必要がある」と述べた。
北海道ロジサービス(江別市)の髙橋徹執行役員専務は、2022年度ロジスティクス大賞を受賞した「納品書ペーパーレス」の取り組みを説明。加工食品・飲料・菓子メーカー約400社、卸商8社、道内輸送事業者約20社を対象とした取り組みで、「これまで寸断されていた各社の物流情報をクラウド型共通システム活用により、納品伝票の統一と電子受領、関係者への情報連携・可視化」を図ったとし、「自社物流のDX化のみならず、関係先とのメリット享受・全体最適化を目指す」とした。
北海道経済産業局産業部産業振興課の高橋俊弘総括係長は、令和5年度に北海道限定の施策として、消費財の流通・物流機能の維持に向けた⺠間の取り組みを後押しする事業を行うとし、「地域フィジカルインターネット懇談会(仮称)」の開催や、「地域物流課題実証」を実施する予定と説明した。