安藤ハザマ(国谷一彦社長、東京都港区)とカナモト(金本哲男社長、札幌市中央区)は5月10日、共同で建築工事における物流倉庫の間仕切り壁などに使用する重量長尺資材(角パイプ)の建て起こし装置を共同開発したと発表。作業時間の短縮、作業員の削減による生産性向上と危険作業の低減による安全性の向上を実現させる。
近年のEコマース市場の拡大に伴って物流倉庫の新設が堅調だが、この建設においては法令で2,500N/m2の荷重に耐えられる壁の強度が必要と定められており、壁の下地材として鋼製の角パイプを使用することがある。角パイプは長さが6mから8m、重量が1本あたり60㎏から100㎏を超える場合もあり、建て起こし作業や取付位置までの移動など作業効率が悪く、また危険を伴う作業となっている。
現在の施工方法は、高所作業車に搭乗している作業員(1人)が角パイプを抱えながら上昇し、建て起こした角パイプを高所作業車下部床面の作業員(2~3人)とタイミングを合わせながら持ち上げ、施工位置まで移動させている。これらの作業は肉体的負担が大きいだけではなく、高所作業車の転倒や角パイプの脱落・落下の危険を伴うこととなる。天井や梁にチェーンブロックを設置して建て起こす方法もあるが、建て起こしに時間がかかる上、頻繁に設置場所を変更する必要があり、作業効率の低さが課題となっている。
今回開発した建て起こし装置は、物流倉庫建設現場などで壁や天井を施工する際に使用する自走式シザース型の「高所作業車」をベース機とし、上昇時地上高6mと8mの機種で開発。角パイプは寸法が縦100mm×横100mm、最長8m、最大重量105㎏まで対応可能。高所作業車に角パイプの建て起こし治具を装着。これは、高所作業車と治具を連結するためのプレート、角パイプの固縛装置、プレートと固縛装置を連結するワイヤーで構成され、固縛装置は、角パイプの周囲を鉄製の枠で囲み、締付け部のボルトをインパクトレンチで締め付けることで固縛する。枠の内側にはゴムを貼付し、角パイプの脱落を防止している。
固縛装置に固縛した角パイプは、高所作業車を上昇させることで建て起こされる仕組みとなっているため、従来に比べ、角パイプの脱落・落下リスクと作業員の肉体的負担を大きく低減することが可能。また、高所作業車に搭乗している作業員1人と床面の作業員1人で作業が可能なため、作業員を1~2人削減することができる。
今後は、現場試行で実作業における課題を抽出し、装置・治具の改良を重ね、作業効率および安全性のさらなる向上を図るとしている。