丸紅は9月1日、国交省の「地域交通共創モデル実証プロジェクト」の枠組みを活用し、同日から2024年3月迄の7カ月間、石狩市で社会実装に向けたオンデマンド交通の実証運行を行うと発表した。
「いつでも つながる モビリティ」の頭文字をとり、サービス名は「いつモ」。
石狩市は札幌市に隣接し、重要港湾の石狩湾新港と、その後背地に総面積約3000haの工業流通団地である石狩湾新港地域を抱え、道内最大の冷凍冷蔵倉庫群をはじめ、北海道における産業・物流に不可欠な拠点機能を担っている。
現在、石狩湾新港地域には700社を超える企業が立地し、日中は約2万人の就業者が働いているが、通勤手段における公共交通の利用率は全体の2%弱に留まり、自家用車(約68%)と立地企業が個別に手配する自社バス(約30%)が主体。新たな公共交通サービスの導入が課題となっていた。
オンデマンド交通はIoT、AI技術を活用し、タクシーの利便性と路線バスの効率性を兼ね備えた新しい交通サービスであり、全国各地で導入や実証実験が行われている。
丸紅は、2022年10月から2023年3月までの6カ月間、石狩市において石狩湾新港地域への通勤を目的とした「通勤オンデマンド交通」と、市内の移動を目的とした「市内オンデマンド交通」の二つのサービスの実証を行い、利用者の約90%以上から「満足している」との回答を得た。この結果を踏まえ、今回の実証運行では運行日や運行時間、対象エリア、便数、対象車両数を拡大し、オンデマンド交通を提供する。
丸紅では、利用者となる石狩市民、石狩湾新港地域の就業者のニーズに応えるべく、安心・安全な移動環境の創出を担う地域の事業者と共創プラットフォームを形成し、地域に根差した持続可能な交通サービス導入を目指すとしている。