全ト協(坂本克己会長)は10月4日、札幌パークホテルで第28回全国トラック運送事業者大会を開催し、全国から約1250人の事業者が参加した。
坂本会長は冒頭の挨拶で、9月28日に岸田文雄首相が東京都でトラック事業者の視察・車座対話を行ったことや、物流革新緊急パッケージが10月中に策定される見通しであることなどに言及し、「これらはひとえに皆様の力で貨物自動車運送事業法が改正されたことが下敷きになっている。物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドラインや、この法制化に向けた動きも皆様の力で実現した」と感謝を示した。
あわせて、「荷主対策の深度化、標準的運賃の告示、燃料サーチャージ制度の告示、トラックGメンなどをしっかり活用し、こういった流れを実らせてほしい」と述べ、参加事業者に向けて「トラックは基幹産業。蛮勇をふるい、体当たりをして、上昇していかねばならない。今からが戦いの始まり。団結し、一つの塊となって大きく飛躍し、前へ前へと進んでいこう」と力強く呼びかけた。
開催地ブロックの北ト協の工藤修二会長は「2024年問題をはじめ、業界を取り巻く環境は大変厳しい。諸課題に対し、力を合わせて克服に取り組み、広く荷主・一般社会に周知し、現状打破に向けて大きく前進していこう」と挨拶した。
「アップデート」で進化『2024年問題への挑戦』をテーマにシンポジウムが行われたほか、道内コンビニ最大手であるセコマの丸谷智保会長が「地域密着経営〜道内産品を生かしたオリジナル戦略の展開」と題して記念講演を行った。シンポジウムでは、NX総合研究所の大島弘明常務が「2024年問題はドライバー不足に起因する。他産業並みの労働時間と賃金に近づけていく、その大きなきっかけとして2024年問題を捉えてほしい」と問題提起し、国交省物流・自動車局の小熊弘明貨物流通事業課長、読売新聞東京本社の佐々木達也論説副委員長、日本経団連の鈴木重也労働法制本部長、立教大学経営学部の高岡美佳教授、全国消費生活相談員協会の坪田郁子専務、全ト協の馬渡雅敏副会長らがパネリストとしてそれぞれ意見を述べた。
また、武田運輸の女性ドライバー宮田彩氏が現場の声として「荷主庭先での手待ち時間や手荷役を減らす仕組みを考えてほしい。長距離便では駐車場やトイレ・シャワー施設も少ない。大好きなトラックの仕事が続けられるよう、大きな力添えをお願いしたい」と意見を述べた。
北ト協青年部連絡協議会の比良友彦会長が大会決議文を読み上げ、十勝地区ト協の沢本一輝会長の音頭でガンバローコールが行われた。
次回第29回大会は、九州ブロックの熊本市で開催されることが報告された。
大会決議文は次の8項目
・荷主とのパートナーシップを構築し、商慣行の見直し及び長時間労働の是正と取引環境の改善を図り、「物流の2024年問題」を解決しよう
・「トラックGメン」と連携し、適正な取引を阻害する荷主企業を排除しよう
・トラック運送業界で働く人々や国民の暮らしを守るため、「標準的な運賃」の活用と燃料サーチャージによる価格転嫁を実現しよう
・物流の効率化を図るため、物流DX・物流GXを推進しよう
・深刻な担い手不足を解消するため、多様な施策による良質なドライバーの人材確保を図ろう
・高速道路料金の割引の拡充及び高速道路や一般道路のトラックの駐車スペースや休憩施設を増設し、運行の安全確保を図ろう
・交通事故と労災事故の防止は、我々トラック運送業界の原点。事故の撲滅に向け、さらに邁進しよう
・大規模災害発生時における緊急輸送体制を確立しよう