北海道運輸局、北海道労働局、北ト協、北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会は10月20日、札幌パークホテルで「物流業界の『2024年問題』対策セミナー〜持続的で安定的な輸送力を確保するために」を開催した。
NX総合研究所の大島弘明常務が基調講演を行い、「日本では近代以降、『モノが運べない・調達できない』ということは一度もなかったが、これが本当に起きる可能性がある。『物流危機』と言われて久しいが、この間も相変わらずドライバーが長時間労働で頑張ってくれ、『運べない』ということはほぼ起きなかった。しかし、時間外労働に規制が入り、これはもう許されなくなる。行政は法改正や各種ガイドライン、政策パッケージなどを準備しており、これだけ運送業界の支援に向けた施策が出るのは初めてのこと。運送事業者はこれを追い風にして、荷主企業に提案を行い、労働時間が短くなっても賃金が減らない体制を整えてほしい。また、生産性の向上や取引条件の改善には、荷主企業の協力が不可欠」と訴えた。
「物流効率化の取組について」をテーマにラルズの松尾直人専務、ホクレン農業協同組合連合会管理本部物流部の湊興令部長が事例発表を行い、松尾氏は「モーダルシフト推進、バラ積み禁止、女性・高齢者に優しい物流、作業の効率化」を方針として掲げて推進し、週次・月次の定例ミーティングでは、現場のドライバーしかわからないような細かい物流課題も把握できるようにしていると紹介、「企業では営業部門が強く、物流部門は『言われたことを実行する』ということが少なくないが、当社では私は商品統括部門と物流部門の責任者を務めているので、そのようなことはない。最適な物流を考えて取り組んでいる」と述べた。湊氏もパレット輸送や中継輸送といった取り組み事例を発表した。
このほか、国交省自動車局貨物課の運﨑彩香課長補佐が「我が国の物流の革新に向けた取組の動向について」、北海道労働局労働基準部監督課の吾子勇二統括特別司法監督官が「改正改善基準告示について」と題して講演した。