北海道鉄道活性化協議会は11月20日、ニューオータニイン札幌で「北海道鉄道活性化フォーラム」をオンライン併用で開催、持続的な鉄道網の確立を目指し、北海道の鉄道が置かれている現状の共有や課題解決に向けた議論などを行った。
北海道大学大学院工学研究院の岸邦宏教授が「北海道鉄道ネットワークの課題とこれから」をテーマに基調講演を行い、道内の運輸事業者が連携してアセットの共用・サービスの統合・収入の再配分などを行う「北海道版運輸連合」構想について、事業者の連携に向けて検討を進める段階に来ていると語った。
また、岸教授、国交省鉄道事業課長の山﨑雅生氏、俳優の六角精児氏によるトークセッションも行われ、岸教授は「JR北海道が示した単独では維持困難な線区を残すには、全てにおいて抜本的改善がないと解決が難しい。これら線区を『国としての交通ネットワーク』としてどう位置づけるかが重要だが、これが示されておらず、あくまで『地域の問題』とされている。北海道の一次産品を全国に届ける『食糧安全保障』や『有事の輸送手段・国家の安全』といった観点から、国が主体となって考えることも必要ではないか。また、北海道としても、安全安心に移動ができ、環境負荷が少ない輸送手段である鉄道が『乗らないとなくなる』という危機感や意識を持たなければ、状況が変わらない」と述べた。
財源についても「線区維持のための安定財源がなく、新たな財源やそのための制度設計の検討が必要。『鉄道貨物維持による食料基地としての北海道の役割』という観点では農林水産分野にも関わり、『防衛』の分野の問題でもある。国交省鉄道局という枠を超えて議論をしていかないと厳しいのではないか。また、『ユニバーサルサービス』としての負担や、『料金の一部を交通税に充てる』など、利用者の負担も考えられる。既存の枠組みだけで考えていては解決が難しい」と問題提起した。