アイ・リンク(本間勝行社長、札幌市白石区)は12月から、競り下げオークション形式の物流マッチングプラットフォーム「RISE(ライズ)」の運用を始める。
事業再構築補助金を活用してグループ企業の山桜商事(同社長、石狩市)が開発、11月中にシステムが完成し、12月から物流支援「逆セリ」アプリとして、まずは北海道から運用をスタートさせる。来年度から対応エリアを首都圏などに拡大する計画で、順次、全国に展開していきたい考え。名称は「競(SERI)」の綴りを逆にしてつけた。
RISEは、「逆セリ」形式の求貨求車プラットフォームで、荷主・運送会社とも登録料や会費は無料。運営側はマッチングした運賃の9%を荷主・運送会社の双方から収受する。案件が成立しない限り、荷主・運送会社とも一切費用はかからない。
荷主会員は荷姿や集荷・配送の日時と場所、希望する運賃やその他の詳細な条件を登録。運送会社は、競争入札方式で価格を提示し、荷主が条件にあった運送会社を選ぶ。マッチング後は双方がチャットでやりとりできる。直感的に使えるインターフェースやデザインにも注力した。
荷主にとっては輸送コストの削減、運送会社は新規受注の機会となるほか、積載率・実車率・稼働率などの向上につなげられる。ドライバーのスマホにアプリをダウンロードさせることで、荷物の位置情報や作業の進捗状況をリアルタイムで把握ができ、請求管理まで一元化できる。緊急配送では、配送希望時間の3時間前までの案件作成が可能となっている。
入札する側(運送会社)が「より低い運賃を提示していく」よう促す仕組みのため、「落札する側(荷主)だけが得をする」「運賃値下げを助長する」という見方もできるが、これに対し、本間社長は「値崩しと思われるかもしれないが、狙っているのは隙間の有効活用。帰り荷がなく空気を運んでいるケースや、まだ積載が可能なケースなどに活用してほしい。新たに直荷主とつながる機会にもなり、取引の多層構造の改善に寄与する」と説明。「2024年問題をはじめ物流業界が厳しい局面を迎えている中、思い切った発想のアプローチが必要と考えて開発した。有効に活用してもらえれば、運送会社にとっては、稼働率や積載率、売上げや利益の向上に寄与し、ドライバーの賃金アップにもつながり得る」と話す。
物流部門統括責任者で山桜商事の副社長も務める小野雄太氏も「人材不足を緩和するためのシステムとして活用してほしい。値崩しを助長するのではなく、適正運賃収受の流れと共存できると考えている。荷主にとっては車両台数の削減など負担軽減になる。また、逆セリは、案件が成立するまで『値段が育つ』感覚があり、案件への思い入れが生まれる。積載率が向上すれば、物流全体の効率化にもつながる。小規模の運送会社でも、荷主開拓も可能になるので、業界の活性化に繋がってくれれば」と話す。
専業の営業担当を配置し、まずは道内の製造業などに登録を促し、徐々に対応エリアを広げていく考え。