北海道新聞社(宮口宏夫社長、札幌市中央区)は5月16日、「暮らしはどうなる?北海道の物流2024年問題―課題の象徴『道北』の担当記者に聞く」と題したトークイベントをオンラインで開催した。
トラック運転手の残業規制強化が4月に始まり、北海道では、物流拠点が多い札幌などから遠い地域において、暮らしに欠かせない商品が運べなくなる懸念が高まっている。とりわけ道北地域は、トラック以外の代替手段が少なく「課題の象徴」とされており、このエリアでの物流の課題や対策を旭川報道部の記者らが報告した。
北海道では物流拠点が札幌市や苫小牧市近郊などの「道央」に集積しており、ここから道内各地に輸送されている。「1日1往復で輸送できるのかが北海道の物流の生命線」とし、地方では荷物が届かなくなり、衰退につながるという問題が顕在化していると紹介し、道北では輸送力が不足し、「運送会社が荷主を選ぶ・荷主が選ばれる」時代に入ったと説明。
こういった課題を乗り越えるため、「積載効率を高める」必要があると強調し、片荷物輸送の解消や、行政の支援による共同輸送・中継輸送推進の取り組み、自治体による物流拠点整備の動きなどを紹介した。また、消費者としても「安くて良いモノを求めることは当然だが、物流の問題を放置すれば、最終的に商品価格に転嫁されることになる。身近な問題として関心を持ち続けることが重要」と訴えた。