日本物流学会北海道支部(相浦宣徳支部長)と日本経済港湾学会北海道部会(菊地達夫部会長)は6月15日、北海商科大学で初めての合同研究会をオンライン併用で開催した。両学会の会員ら35人が参加した。
菊地部会長が「石狩湾新港における貨物取扱量の変化と特色」、相浦支部長が「わが国の幹線物流ネットワークのありよう~ドレージ輸送の観点から」と題してそれぞれ発表を行った。
菊池部会長は、石狩湾新港の商船数や貿易量、仕向・仕出港の推移などをまとめ、「過去10年間、商船数は1300前後の横ばいで内航商船が4分の3を占める。内外貿易量では輸入・移入が約9割と圧倒的に多い」などと報告した。
相浦支部長は、貨物輸送手段を選択する際、これまでは「輸送コスト、発地から着地までの所要時間、運行ダイヤ、定時制・確実性、品質管理(荷傷み・温度管理)、ロット」が大きな要素だったが、2024年問題の影響などにより、今後は「ドレージ輸送への依存度」「環境への負荷」がこれに加わると主張。「貨物駅や港湾に行き来するトラックの輸送距離やドライバーの確保が重要となる。北海道では、貨物駅や港湾など基幹物流の結節点とを結ぶトラック輸送の確保が難しくなってきており、これが本州などとを結ぶ基幹ネットワークにも影響を与える」と強調した。
また、函館本線(長万部・函館間)における貨物鉄道輸送の在り方について、費用負担をはじめとした具体的な見通しがはっきりしていないことに言及し、「貨物鉄道ネットワークの維持・存続がなければ、北海道の物流体系のみならず、北海道産品の全国への供給といった波及効果が大きくなる」と指摘した。