工藤商事(夕張郡栗山町)の工藤英人社長は6月24日、北星学園大学の授業「北海道の企業」で経済学部の3年生約70人を対象として、講義を行った。
同授業は、「北海道にどのような産業があるのかを知り、視野を広げる」ことを目的として、道内15人の経営者などが週替わりで講義するもの。北海道中小企業同友会の協力のもと、様々な業界の現状や各社の事業戦略などについて説明が行われるほか、少人数によるミニ懇談会も開かれる。
工藤社長は、トラック運送業界の代表として講義を行った。金野雄五教授、藤井康平専任講師が担当し、毎年人気の授業となっているという。
工藤社長は、自社の概要と経営理念、事業戦略、求める人材像などについて説明したほか、実際に手掛けている農産物のサプライチェーン(集荷から荷役、仕分け・包装、梱包、配送)の一連の業務を実際の動画で紹介。「我々の仕事は、必要なモノを、必要な時に、必要な量だけ、必要な場所に、常に供給し続けること」と説明した。
また、「電気、ガス、水道、通信、交通といった経済・社会生活の基盤となるインフラも、物流が機能することで供給できている。物流はインフラであるとともに、物流以外のインフラも支えている。社会に出ると、必ず近くに物流が存在する」と強調した。
クローズアップされている2024年問題については、「昔のトラックドライバーは長時間労働で高収入の仕事だった。現在は全産業平均より低い賃金水準となり、2024年度から労働時間が制限されることによって、よりドライバーの賃金が下がり、仕事としての魅力も低下する懸念がある。この影響により、荷物がいつも通りに届かなくなる恐れがある。これがインフラを支える荷物であったら、影響が大きく広がる」と指摘した。
ミニ懇談会では、学生から「物流業界ではどのような人材が求められるのか」「トラックの騒音対策としてどのようなことをしているか」「ドライバーの大変さや楽しさはどのようなものか」「女性でも活躍できるのか」といった質問が相次いだ。