帝国データバンクは10月11日、保有する「商流圏」データをもとに行った「イトーヨーカ堂を頂点とするサプライチェーン(供給網)」について調査・分析の結果を公表した。
国内有数の規模を擁する総合スーパーイトーヨーカ堂向けに生鮮品を供給する企業や、テナント出店などで取引があるサプライチェーン企業(供給網)の総数は、7月時点で国内に1万485社判明。派生する売上高(=取引高)は1兆7706億円にのぼり、同社の年間売上高8149億円(2024年2月期)の約2・2倍の規模に上った。
一方で、5年前の2019年(社数1万559社、取引高1兆9333億円)と比較すると、社数では74社、0・7%の微減にとどまったものの、取引高は1627億円、8・4%の減少となった。地方を中心にヨーカ堂店舗の閉鎖が続くなかで供給網は維持されたものの、売り上げ規模は大きく縮小したとしている。
供給網を構成する企業を業種別に見ると、配送業務などを担う「一般貨物自動車運送」が872社を占めた。店舗間配送のほか、ヨーカ堂向けに物品を供給する企業間輸送などの業務が多いことを背景に、「他の食料・飲料卸(バター、水産練り製品など)」(377社)に比べて2倍以上の水準だった。このうち、ヨーカ堂と直接取引を行う企業(Tier1)をみると、「野菜卸」(65社)が最も多く、「他の食料・飲料卸」(64社)、「生鮮魚介卸」(48社)など、生鮮食品を中心とした商社が多くみられた。
都道府県別に見ると、社数で最も多いのは「東京都」の2526社、取引高は1兆1314億円に上った。埼玉県・千葉県・神奈川県を含めた首都圏エリアで、社数ベースで約4割、取引高では約7割を占め、ヨーカ堂の供給網は首都圏に本社を置く企業を中心に構成されている。
一方、5年前(2019年)と比較すると、都道府県別に社数で「減少」が28、「増加」が16となった。なかでも社数の減少が最も大きいのは「北海道」で、取引社数は650社から583社と67社、10・3%減少した。北海道では、既に札幌都市圏を含め全店舗の閉鎖が決定しており、閉鎖対象の店舗などへ商品配送を行っていた企業の供給網で影響が及ぶ可能性があるとしている。
多くの店舗が閉鎖された北海道ではヨーカ堂への供給網を構成していた企業数が5年前から1割減少した地域もみられた。同社の事業再編が、ヨーカ堂向けに生鮮魚介や青果の供給を担う中小企業に広く影響を及ぼす可能性があり、動向に注視が必要となるとしている。。