「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」第5回会議 鉄道事業者から情報提供

国交省と北海道は1月15日、TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前で「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」の5回目の会合を開催し、年度中に策定する「中間取りまとめ」に向けて、鉄道事業者からの情報提供を受けた。

同会議では、北海道新幹線札幌延伸の影響により、JR北海道から経営分離される並行在来線「函館線函館︱長万部間」を維持する場合の経営主体、費用負担や財源などの諸課題について解決方策を検討しており、3月末までに「中間とりまとめ」を策定、その後、1年をかけて「最終結論」を出す。

札幌延伸は30年度末の計画だったが、工事の遅れなどによって8年前後の大幅なずれ込みが予想されている。同会議ではこれを折り込まず、当初の予定通りのスケジュールで協議を進める。

これまで、物流企業や業界団体、メーカーや小売企業などの荷主から、鉄道貨物輸送に関する現状や課題などをヒアリングし、在来線の今後について論点整理の準備を進めてきたが、今回は、JR北海道の今井政人副社長、JR貨物の篠部武嗣取締役兼常務執行役員から、輸送の現状や路線を維持した際に必要となる要員などについて説明を受けた。北海道総合政策部の宇野稔弘交通企画監は「函館線は北海道と本州を結ぶ唯一の鉄道路線であり、北海道にも、全国的にも欠くことが出来ないルート」と述べた。

同会議が設置されるまで、「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する情報連絡会」により、「在来線を維持し、貨物鉄道機能を確保」するには、「線区を引き継ぐ経営主体のあり方」や「毎年度かかる数十億円の維持管理費用と将来の大規模修繕費用などの負担の方法・割合」「数百人規模の要員の確保」といった課題があると確認された。

「複雑な利害調整」が必要なため、有識者会議では関係者のヒアリングを進めてきたが、これまでの会議では「もう少し論点整理をして議論を行うと考えていた。中間とりまとめという形に持っていけるのかと(疑問に)思った」(第3回会議)、「保守・維持管理の主体、財源などが問題としてあるということを明確に、バックとなるようなデータや事項を整理して提示してほしい」(第4回会議)といった意見が出ている。

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