サツドラ「ランニングストック方式」実証実験 北後志5町村で持続可能な広域防災モデル構築へ

サッポロドラッグストアー(富山浩樹社長、札幌市東区)は3月13日、北後志広域5町村(余市町・積丹町・古平町・仁木町・赤井川村)と連携し、持続可能な広域防災(備蓄品)モデルの構築に向け、「ランニングストック方式」の実証実験を同月より開始すると発表した。

2022年3月に同5町村とサツドラホールディングスほかによる「北後志広域防災連携に係る協定」に基づくもので、購入した備蓄品を自治体自ら備蓄倉庫に保管することなく、事業者の物流拠点に寄託し、事業者はそれを販売用在庫としながら、流通し管理・保管する。災害時等については自治体の返還要求により払い出す。

地方自治体の防災備蓄品に関する大きな課題として、財源・保管場所の不足や備蓄基準が整備されていないこと等に起因する「備蓄品の不足」と、流通過程における選択肢の少なさやその閉鎖性による「(消費期限による)廃棄など無駄の発生」が挙げられる。

今回の実証実験では、備蓄品をサッポロドラッグストアー店舗での販売用在庫として活用していくことで、備蓄品の廃棄ロス削減、低価での備蓄品購入、保管場所の確保などの課題解決につなげる。
北後志広域防災連携の想定避難者数5600人の2食分の食料と飲料水を自治体が購入してサッポロドラッグストアーの物流拠点に保管しておく契約を締結。サッポロドラッグストアーでは、この備蓄用の食料・飲料を販売用の在庫と同等に扱いながら管理・保管していく。
自治体は、防災備蓄品の賞味期限切れ管理を実施する必要がなくなり廃棄ロスなどの問題が解消されるとともに、備蓄品の保管スペース不足問題や備蓄品管理業務も不要となり担当職員の負担を大幅に軽減することが可能になる。また、賞味期限管理問題が解消されることに伴い長期保存が可能であるが割高な備蓄用食品や飲料水ではなく通常品で備蓄していくことが可能となり、経済的にもメリットが生まれる。

今回のような品目・数量を決めた形式での流通在庫の方式は北海道初の試み。地方自治体と民間企業が従来の物資提供に関する連携の枠を超えた、新たな広域防災モデルとなる。実験を通して関係各所と各種オペレーションやビジネスモデルの検証・精査・ブラッシュアップを行い、地方自治体と民間企業の双方にとって持続可能な防災モデルを確立することを目指す。

北後志広域防災連携代表町村である余市町の齋藤啓輔町長は、「ランニングストック方式による防災備蓄の取り組みは、避難者への備蓄食提供の実効性を大きく向上させるほか、自治体が共通して直面している課題を大きく改善する可能性を秘めており、コストパフォーマンスの向上、廃棄ロスの解消、備蓄場所の確保などといった課題解決に向けた第一歩となる」とし、サッポロドラッグストアーの富山社長は「ランニングストック方式は、地域住民の生活を支える地方自治体と民間企業が防災という課題に対して共に考える中で生まれ、将来に渡って持続可能性と実効性のあるモデルになり得ると考えている」とコメント。

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