「小型機を活用した北海道内における効率的な輸送構築コンソーシアム(代表者=ヤマト運輸、構成員=北海道エアシステム)」は1月21日、アスティ45で「航空貨物輸送網強化事業成果報告会」を開催した。
北海道では今年度、航空貨物輸送網の強化による航空ネットワークの維持・拡充や、新たな輸送のあり方を検討するため、同コンソーシアムが中心となり、これまであまり活用されてこなかった道内の地方空港を発着する「小型機床下の貨物スペース」を活用した航空貨物輸送の実証事業を実施、専用の「航空保冷コンテナ」の開発も行い、これら取り組みの成果や課題を報告した。道内の生産者、物流事業者、自治体関係者らが参加した。
実証事業は昨年7月から今年1月まで約半年間にわたり実施。離島の利尻空港、奥尻空港をはじめ、釧路空港、根室中標津空港、女満別空港の道内5空港から水産品や農産品などを発送し、丘珠空港と新千歳空港を経由して首都圏へ輸送した。期間中、合計で106回、宅急便換算で841個の荷物を運んだ。
ヤマト運輸北海道統括マネージャーの奈須川洋平氏は「北海道経済の活性化に向けて、一次産品の流通拡大を図るため、産地からの『時間距離』をどのように縮めるかがキーになる」とし、実験の結果、「通常の宅急便と比べ、リードタイムが全てのエリアで1日短縮でき、離島からは2日短縮したケースもあった」「保冷コンテナ内の温度は10度以下をキープすることができ、鮮度・品質ともに問題なく輸送できた」と報告。
一方で通常の宅配便と比べ、航空運賃が3〜4割程度プラスでかかったことに加え、地方空港までの陸送や、丘珠空港から新千歳空港までの横持ちなどで別途かかった軽車両のチャーター費用が大きく、これが通常の宅配便料金の2倍近くとなった。「コスト低減には至らず、今後の課題となった」と説明した。
また、地方空港からの商品を一旦受け入れる丘珠空港内に「貨物上屋スペース」を新設する必要性があると報告された。
同社の渡邊一樹執行役員(北海道統括)は「北海道の食のブランドの向上を図る取り組みで、いかに消費地までのリードタイムを短縮させるかが重要となる。道内の沿岸部や農村地帯はすでに物流困難地域となっており、こういった課題の解消にも資する。まだ拡大できると考えている」と述べた。