ティーアール・ネットサービス 中東向け生鮮物流サービス構築へ「5C」発足

生鮮輸送を手掛けるティーアール・ネットサービス(渡邉貴浩社長、札幌市手稲区)は、中東地域に向けた青果物の集荷・輸送・鮮度保持・保管・販売までをワンストップで行う事業の構築を始める。協力企業とともに「クロス・カントリー・コールド・チェーン・コンソーシアム(5C)」を発足し、5月29日に本社でキックオフ発表会を開いた。

5Cでは、「情熱こもった日本の名品を、生産者から消費者の手元まで『世界一長い鮮度保持』を実現する最先端のコールドチェーンシステム構築を目的とした調査・実証」を活動目的とする。現地での需要調査や販路開拓なども行う。

同社は「令和6年度農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業補助金海外サプライチェーン構築に向けた投資可能性調査緊急支援事業」に採択され、今年3月15〜21日にかけてドバイへ投資可能性調査を実施。湾岸諸国では日本の青果物の流通が極めて限定的であるとともに、鮮度の高い産品のニーズも確認した。十分な量の商品確保、現地での貯蔵やデイリーの配送など安定的な供給体制の構築が課題であることを把握し、これを解消するため「輸出先での鮮度保持貯蔵」を柱として、日本の青果物の輸出拡大を図る。

5Cは、ティーアール・ネットサービスを代表企業とし、鮮度保持システム「スーパークーリングシステム」を展開する日栄インテック(東京都荒川区)、鮮度保持包材「エクステンド」を取り扱うリセンティア(千葉県柏市)、UAEに関連会社を持ち現地知識に長けるYasirub Trading(北海道江別市)が参画。このほか生産者、物流企業、卸企業、梱包機器メーカー、研究機関、金融機関などから幅広くメンバーを受け入れていく考え。

6月から鮮度保持輸送と現地での鮮度保持貯蔵の実証実験をスタートする予定。鮮度保持に係る特殊な包材や保冷剤の活用効果を検証、「中東での実装は世界初」だという。

渡邉社長は「当社は経営理念に『価値流通により、パートナーであるお客様を輝かせ地域・社会の発展に貢献します』と定めている。収穫された生鮮品を鮮度を維持したまま海外に輸送し、販路の開拓までお手伝いをすることで、生産者を輝かせたい。ドバイを中心として高く商品を購入してもらえれば、金銭的にも、ステイタスとしても輝いてもらえ、喜んでもらえる。この後押しをしたいというのが1番の思い。皆さんを海外に連れて行く橋渡しになる」と宣言し、「20㌳コンテナで頻繁に輸送し、現地でしっかり貯蔵し、いつでも現地で購入できるようなコールドチェーンを築いていきたい」と意気込みを語った。

また、「日本を背負うという意気込みでコンソーシアムの名称を『日の丸の鮮度隊』としたかったが、特攻隊をイメージさせてしまうので、メンバーで協議して5Cとした。当社と関わって良かったと思ってもらえるよう、取り組みを進めていきたい」と述べた。

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