aiESG・ JOYCLE 石狩市で「分散型廃棄物処理モデル」の構築目指し実証実験

aiESG(馬奈木俊介社長、福岡市博多区)とJOYCLE(小柳裕太郎社長、東京都港区)は、石狩市で分散型廃棄物処理モデルの構築を目指した実証実験を1月下旬に行い、その結果を6月20日に公表した。

道内地方部では、人口減少と高齢化により、ごみ収集効率の低下や廃棄物処理コストの増加が課題となっている。同実証実験は、石狩市のスタートアップ支援プログラムを活用し、JOYCLEが開発した分散型アップサイクルプラント「JOYCLE BOX」で廃棄物の現地処理と資源化を行うことで、従来の焼却炉への長距離運搬に伴うコストと環境負荷の低減を目指すもの。

また、車両の位置情報データの取得・分析ができる動態管理サービス「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」を搭載したごみ収集車両を用いて、収集ルートの可視化を図った。

この結果、同市内で「JOYCLE BOX」12台が、収集車2台を代替した場合、年間のCO2排出量を約56㌧、燃料消費量を1万6280㍑、運搬コストを7200万円削減できる可能性が試算された。また、労働時間を169時間削減できることも確認された。

実証実験では、ムーボ・フリート」を活用し、石狩市内の一部のごみ収集車によるごみ収集効率を可視化したうえで、焼却炉から遠く収集効率性の低いエリアに「JOYCLE BOX」を設置した場合を想定し、各種データを算出。「JOYCLE BOX」の運用コストを見積もっても、5〜6年で初期費用(12台導入で3億6000万円)が回収可能であることが判明。大型焼却炉への輸送処理とのハイブリッド活用の有効性をデータにより証明することができたとしている。

石狩市企画政策部企業連携推進課では「当市は、平成17年の市町村合併により南北70㌔㍍、東西約30㌔㍍の面積を有する。南部は札幌圏の港湾である石狩湾新港の開発により、都市型の産業空間が形成されている一方、北部は少子高齢化による人口減少が深刻。今回の取り組みは、大きな面積を有する北海道の持続的なごみ収集を目指すプロジェクトと認識しており、地方部のごみ収集における課題解決につながることを期待している」とコメント。

JOYCLEの小柳社長は「広大な北海道での高齢化やドライバー不足によるごみ運搬の大きな課題解決に、当社のJOYCLE BOXが貢献できるはずという自負があった。分散型インフラ導入による効果を定量的に示す数少ない試みとして重要な知見を提供する」としている。

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