北海道の求荷求車サイトの現状

北海道では、求荷求車サイト(マッチングサイト)の利用が極めて低調だ。全国展開をしている既存の有力サイトでも「北海道は(求荷求車)情報がほとんど掲載されていない」ことが常態化している。ト協からは「北海道に特化したプラットフォームの構築」の提案も出されている。

日本能率協会総合研究所(東京都港区)が2022年に発表した「配送マッチングプラットフォーム市場」に関する調査では、20年に70億円規模だった市場が、26年には470億円規模へと7倍近くまで右肩上がりで成長すると予測している。しかし、北海道では、こういった市場が成長していると感じることはほとんどない。

日常的に大手マッチングサイトで情報を確認しているという事業者は、「『北海道発』、特に『北海道間』の荷物情報(求車案件)はほとんどない。道外から運んでほしいという『北海道着』の案件はこれより少し多いが、1週間を通して北海道発・北海道間の荷物情報がゼロということも少なくない」とする。

【実際の求荷求車のデータ数は】

実際、9月半ばの午前中にデータを確認してもらった。あるマッチングサイトでは、北海道発の荷物情報は1件(全体の約0・006%)、北海道着の情報は38件(同0・2%)。また、空車情報(求荷案件)は北海道発で15件(同1・3%)、北海道着で8件(同0・7%)に過ぎなかった。

別の大手サイトでも確認してもらうと、北海道発の荷物情報は0件(同0%)、北海道着の情報は6件(0・1%)。空車情報は北海道発で1件(同0・1%)、北海道着は0件(同0%)だった。

北海道の面積は全国の20%あまり、人口と国内総生産は4%程度であり、これと比べるとあまりに低い割合、特に北海道発の荷物情報の少なさが目立つ。この「運んでほしい」という情報の多さが求荷求車サイトの大きな魅力の一つだが、あまりに少なすぎる。同事業者は「いつもこの程度」だという。

【利用は3〜4%】

北ト協・札ト協が昨年行った多重下請構造に関わるアンケート調査(有効回答数1091事業所)によると、「他社に業務を再委託している」事業者は全体の57・6%だったが、このうち「マッチングサービスを利用」は1・0%、「マッチングサービスと利用運送専業者の両方を利用」が1・6%だった。また、「マッチングサービスを利用」して業務を受注するは1・2%、「マッチングサービスと利用運送専業者の両方を利用」して受注するが2・6%だった。道内事業者は3〜4%程度しかこういったサービスを活用していない。

【北海道特化のシステム構築?】

この状況をどう見るか。「掲載情報が少ない」から「利用者が少ない」のか、その反対なのか。しかし、よく考えると、北海道ではマッチングサイトを多く使用する必要がないくらいには「輸送の需要と供給がそれなりに釣り合っている」とも言える。「顔の見えない誰か」に運んでもらう、もしくは仕事をもらうまでもなく、自社に加え知っている協力会社で輸送が賄えているのが現状と言えそうだ。

北ト協・札ト協の調査では「北海道の再委託は、仲介を通さず、横のつながりが中心。地域内の人脈・信頼関係に依存した構造が色濃い」とし、「北海道に特化したプラットフォームの構築」「既存サービスの更なる普及促進」などにより、「効率化に向けた環境整備を進めていくことが急務」としている。

しかし、「全国展開を目指し、北海道から立ち上げた」というサイトもこれまでいくつかあったが、いずれも利用は低調で軌道に乗ってはいない。

【行政がデジタルマッチング】

このようななか、行政が輸送のマッチングに注力しているのも北海道の特徴だ。

北海道経済産業局は8月後半から来年1月末までの約5か月間、輸送情報を活用して物流効率化に繋げる「共同輸配送デジタルマッチング事業」を実施。これは純粋な「求荷求車」というよりも、「共同輸配送」を進めるための取り組みだが、混載や帰り便の貨物手配などの共同輸配送に取り組む意向をもつ全ての荷主企業、物流事業者を対象としている。輸送データをシステムに登録し、集まったデータベースをもとに連携したい相手を探し、事務局がマッチングをサポートする。

昨年度は行政主導の取り組みとして全国初で行い、1か月程度にわたり試行。結果、44事業者が参画し、このうち登録事業者の2割以上、登録ルートの約5%にあたる10事業者82ルートで共同輸配送のマッチング希望があった。

今年度は長期間の実証期間を設けて更なる共同輸配送の推進を目指す。併せて、道内での輸送情報の集約化・データ化を進める考え。事業を通じて得られた物流データを活用し、共同輸配送などの動向とデジタルマッチングに関する効果検証を行う。

同局では、登録するメリットとして「共同輸配送デジタルマッチングシステム上で簡易にマッチング候補を検索できる」「マッチング候補事業者の了承のもと、事業者と繋がることができる」「繋がったマッチング候補事業者と直接連絡をとることができる」とアナウンスしている。

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