北海道運輸交通審議会が1月28日、かでる2・7で開催され、「北海道交通政策総合指針・北海道航空ネットワークビジョン」「北海道交通・物流連携会議」「JR北海道に対する地域支援」の推進状況などを報告し、委員がそれぞれの業界が抱える課題について意見を述べた。
同審議会は、北海道における運輸交通に関する施策の総合的な促進を図る目的で設置された北海道知事の付属機関で、運輸交通に関する重要事項について調査審議し、知事に対して意見を具申するもの。
運輸事業者、利用者団体、地方自治体、経済団体、学識経験者など15人で構成し、会長に吉見宏・北海道大学大学院経済学研究院教授、副会長に岸邦宏・同大学大学院工学研究院准教授が委員の互選によって選任された。
吉見会長は「この審議会で昨年度は北海道交通政策総合指針を作成し、今後はこの指針に基づいて交通全体の施策を進めていく。道路、航空、港湾、鉄道を個別に見るのではなく、これらを有機的・シームレスにつないでいくことで、広大な北海道の交通の未来が明るくなる。それぞれが『得をする』ことを主張するのではなく、『汗をかき、譲り』『北海道全体がプラスになる』よう考えることが必要だ」と訴えた。
岸副会長は「『運ぶモノはあるが、運べなくなる』という最悪のシナリオを想定し、対応する時期にきている」と述べた。
トラック運送業界からは、北ト協理事の野村佳史氏(丸日日諸産業)が出席し、「トラックに人を乗せる場合(貨客混載)の規制緩和」「着荷主への指導」「道東道の片道2車線化」「高規格道路の早期地方延伸」「高速道路のワイヤーロープ整備」「季節波動を平準化するための保管施設整備」「フェリー・RORO船利用に関する優遇措置」「災害時の優先道路・燃料の確保」「気象・道路・除雪情報の一元提供」などの実現を要望した。
このほか、北海道船主協会連合会の馬場信行会長(川崎近海汽船)が船舶の硫黄酸化物(SOx)規制の強化について「対応に大きな費用がかかる見通し。船社はもとより利用者にも相応分の負担をおかけすることになるかもしれず、今後の物流の大きな課題となる」と発言した。
出席した窪田毅副知事は「北海道のさらなる発展を支える交通ネットワークの充実を、オール北海道として進めていくことが重要。将来を見据えた忌憚のない意見交換をしてほしい」と述べた。