「船舶燃料油SOx規制に関する説明会」北海道運輸局 海運業界の懸念解消に向けて

北海道運輸局は2月26日、札幌第2合同庁舎で「船舶燃料油SOx(硫黄酸化物)規制に関する説明会」を開催、海運事業者らが参加した。

船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度の上限を現状の3.5%から0.5%とする国際的な規制強化が2020年1月から開始されることに伴い、海運で使われている船舶は、①規制値に適合する燃料油(硫黄分0.5%以下)への切り替え、②スクラバー(排ガス洗浄装置)の使用により、従来の高硫黄C重油の排ガスを船上で脱硫、③LNGなどの代替燃料油の使用ーのいずれかの対応が求められる。

この環境規制の強化に関し、燃料油の性状変化に関する留意点や適切な対処方法、各種対策の進捗状況などを国交省海事局海洋・環境政策課環境渉外室長の今井新氏が解説。海運事業者らに対しては「LNG燃料船の導入促進」「低硫黄A重油を選択しやすくする」「スクラバー(高硫黄C重油)を選択しやすくする」「荷主等への環境コスト増加の理解醸成」といった対策を行っていくと述べた。
説明会が終了した後も、講師に熱心に質問する事業者の姿が見られた。

移出入・輸出入の貨物の多くを船舶輸送に依存している北海道にとっては、海上輸送コストの高騰が懸念されており、道内の海運事業者からは「規制値に適合する燃料油への切り替えは、従来より高価な燃料油となることに加え、燃料タンクの増設、冷却器の設置や潤滑性促進剤の転嫁、燃料切り替えを安全に行うための船員教育などが必要になる」とするほか、「LNGなどの代替燃料油の使用は、長期的には有望な対策だが、対応エンジンの搭載、燃料タンクの設置、安全管理のための船員教育費用などがかかる」「スクラバーの使用は、搭載費用が多額にのぼるほか、通常メンテナンスの懸念、硫黄分を除去した後に残る残留物の処理費用、洗浄水に添加剤を必要とするタイプの場合はその費用などがかかる」などとの見通しを示し、「どれをとっても費用の増加を避けることができない」と声が聞こえてくる。
「SOx規制は、目の前に迫った非常に深刻な問題で、規制強化まで1年を切っている。北海道を出入りする貨物の多くが影響を受け、これにより商品を出す場合は輸送費の上昇、商品を買う場合は代金の上昇につながる可能性が十分にある。北海道経済や市民生活に及ぶ影響は大きい」と警鐘を鳴らす関係者もいる状況だ。

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