北海道は2月26日、ANAクラウンプラザホテル札幌で「道産食品輸出促進セミナー」を開催、生産者、食品加工メーカー、商社、物流事業者らが参加した。
北海道では道産食品の海外販路拡大のため、フード特区機構に輸出実務に精通した道内・海外アドバイザーを配置し、個別の商談支援や現地の最新ビジネス情報の収集・提供などを行っており、同セミナーでは、タイ、シンガポール、台湾・香港、イスラム圏を担当しているアドバイザー4人が各国・地域での取引事例や取引拡大のポイント、輸出手続きの注意点、現地市場の特徴や展望などについて報告した。
タイ・バンコク駐在アドバイザーの多田羅勝太氏は「食品輸入規制が拡大し、現地生産の日本食が世界に広がっている。世界との商売には、国際基準の認証の取得が必要になる」と報告し、シンガポール駐在アドバイザーの新谷優一郎氏は「近隣諸国を含めて北海道食材の需要が旺盛で、ハブ機能を活かした輸出案件が増えている。何が売れるかは売ってみないと分からず、成約につなげるには『北海道人気』を最大限に利用させてもらうことが重要」と述べた。台湾・香港担当道内アドバイザーの越智晋昭氏は「台湾は輸入規制が厳しく厳格に運用されており、輸入検疫に非常に時間がかかる。香港は輸入規制がほとんどなく、生鮮品・加工品を問わずハードルは低い。両地域とも、一定の北海道ブランドは維持しているが、他地域の商品との差別化が必要」と述べ、イスラム圏担当道内アドバイザーの佐藤敏華津氏は「40年後には世界の人口の3分の1をムスリムが占め、ハラル市場は拡大し続ける」とし、UAEをハラル商流・物流のハブ拠点とした輸出商社のコンテナ空きスペースを使った輸出のスキームを紹介。「積載可能容量を最大限に活かせる空輸コンテナ用の外箱の規格化開発が課題となり、道産食品を売っていくためには、諦めずに販売・PR活動を継続していくことが必要」と説明した。
セミナー終了後にはフード特区機構のアドバイザーによる輸出に関する個別相談が行われた。