萠運輸 コロナ禍でも海外事業順調  フェアトレード推進に取り組む

萠運輸(近澤洋太社長、苫小牧市)では、不用品・リサイクル品などを回収し、カンボジアやフィリピンなど東南アジアへ輸出し、販売する海外事業が順調に進展しており、フェアトレード推進の取り組みにも注力している。

新型コロナウイルスの影響により、カンボジアで展開しているリサイクルショップやカシューナッツの農場には行けていないが、「その分、国内での体制固めができ、海外の現地スタッフも自律的に動けるよう成長した。悪いことばかりではなかった」と近澤社長。

海外渡航が大幅に制限された分、札幌市内のリサイクルチェーンなどに輸出品の調達先を開拓。また、コロナ禍によって、断捨離を行う人がにわかに増えたことで、「これまで以上に海上コンテナを送れるようになった」とし、月間40ftコンテナ2〜3本をコンスタントに輸出している。併せて、コンテナのドレージも手がけるようになり、一連の事業の内製化を図った。

さらに商品輸出を検討している事業者へのコンサルティングを手掛けるようになった。「小ロットの輸出で多くの事業者が『相手にしてもらえない』と困っている。うまくコーディネートできれば、当社トラックでの回収、コンテナでの混載などにより、物流単価が抑えられ、安価に輸出できる。トラックやコンテナの積載率向上の効果も期待できる」という。

今秋には道内で国際ボランティアに取り組んでいる団体の集まりの「北海道NGOネットワーク協議会」に加盟、コンテナに混載することで、海外へ車イスやマスクなどを無償で送る活動を継続的に行っている。「協議会のメンバーはほとんど非営利団体や学生サークルなどで、株式会社では当社のみ」と笑う。

海外事業の伸張に伴い、「フェアトレード」への高い関心を持つようになった。「フェアトレードとは『開発途上国の人を助けよう』ということと思われがちだが、本質は『商品を適正な価格で買おう』ということ。国内での全ての取引においても重要なこと」と説明。苫小牧市をフェアトレードの輪を広げる活動を推進する自治体が認定される『フェアトレードタウン』にするべく、仲間と活動を進めている。

「市民のいらないものを回収し、年間200㌧以上を輸出し、海外で商品として販売している。この利益などを元手にカンボジアで農園を運営し、収穫したカシューナッツなどを輸入し、様々な商品として国内で販売する。当初コンセプトとして持っていた大きなリサイクル・トレードの形が整ってきた」としている。

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