国交省北海道局 苫東開発「平成31年以降の段階的な開発の方向性」とりまとめ

国交省北海道局は3月15日、「苫小牧東部地域開発検討会(座長・田村亨北海商科大学商学部教授)」のとりまとめを公表した。
苫小牧東部地域の平成31年以降の概ね10年間の「段階的な開発の方向性」を検討するため、外部有識者による「苫小牧東部地域開発検討会」を設置、同30年8月〜31年2月まで3回にわたって同検討会を開催し、とりまとめたもの。

同地域は、同20年12月以降の概ね10年間の期間で「分譲約70ha、賃貸約440haを合わせた約510haの立地があり、その結果、産業用地全体(約5500ha)のおよそ3割(約1530ha)が利用されることとなった。
この間、苫東地域の冷涼な環境と物流機能をいかすべく、「雪氷輸送物流システム」や「自然冷熱を活用した農産物の貯蔵・備蓄施設の実証実験」等に取り組んだが、コスト削減の検討が進まず、事業化には至らなかった。

同地域について、「陸海空の輸送ルートが選択可能で交通アクセスの利便性が高く、物流を支えるインフラに従来からの優位性がある」とし、苫小牧港や新千歳空港の物流拠点に近い強みを発揮し、「道産品の道外への出荷」を前提とし、道内全体の資源を活用出来るという意味での「資源依存型の立地」に優位性があるとした。
このため、「食品加工業など道産品の付加価値を創出する産業」の誘致が必要であり、これらの集積を目指すに当たっては、生産地での加工との差別化を図るため、優れた加工技術を有する企業の誘致にも取り組む必要があるとした。

自動車関連産業など既に立地している産業分野の集積を引き続き推進しつつ、食関連産業などの新たな産業・ プロジェクトの誘致を進めることが重要と考えるとした。
産業集積を更に進めるには、道産品の付加価値を創出する取組により出荷量を増やすことが必要であり、特に農産品については加工されずに本州に出荷されているものも多いことから、今後は苫東地域で立地が進んでいる物流、流通施設との連携や、既存産業の技術と知見を近年立地が進んでいる食品関連産業に取り込むことにより、高付加価値の健康食品、サプリメントの生産・加工場などの誘致が期待でき、更には生薬、医薬品の加工・生産といった農産品を活用したバイオ産業への発展の可能性があるとしている。

今後取り組む主な産業・プロジェクトとして、「大型冷凍冷蔵施設を核とした食の移出入・輸出入の物流拠点化を進めるとともに、 食品加工を始めとした多彩な食関連産業」「積雪寒冷地・高齢化社会におけるまちづくりを見据えた、自動車の自動走行やカーシェアリングの実証実験と研究施設」「農林水産業の競争力の強化と担い手不足の解消に寄与するロボット・ドローン産業」などを挙げた。
さらには、北方圏に位置し、欧州と北米、アジア間の物流における地理的優位性を いかし、国際的に注目されている「北極海航路のアクセスポイントとしての優位性の検討」を更に進めるべきであるとした。

現在、物流関連においては、苫東地域内で大型冷凍冷蔵庫の建設が予定されており、食産業基地モデルの形成を目的とした協議会の設立など、産・学を中心とした動きも見られることから、様々なプロジェクトが実を結ぶためには、目的に応じたプレイヤーによる、当該プロジェクトを推進するための体制を構築することが重要であるとした。

国土交通省北海道局では、本とりまとめを踏まえ、今後、「苫小牧東部開発新計画」の次期段階計画を策定していくとしている。

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