北海道運輸局は3月25日、士別市朝日地区で、路線バスの活性化、地域の買物利便性の確保を目的として「貨客混載バスを活用した買物支援サービス」が始まると発表した。
対象店舗は西條士別店、ビッグハウス士別店で、対象地域(配送される地域)は士別市朝日地区。サービスの開始日は同28日。
対象店舗で購入した商品を路線バスとトラックを使って購入者の自宅に当日配送するもので、士別軌道の貨客混載バス朝日線で輸送し、ヤマト運輸が荷受とユーザー宅への配送を担当する。配送の受付は、当日の昼12:00まで。
同運輸局では実証実験を行うなど、このプロジェクトの実施に向けて支援を行ってきており、地域の幅広い関係者による協働のもと、同サービスが実現することになった。
同地域では「貨客混載バスのスキームを活用した買物支援サービス」の導入に向けて、2017年10月に初めての検討会が開かれ、士別市役所、士別商工会議所、朝日商工会、物流事業者のヤマト運輸道北主幹支店、バス事業者の士別軌道ら関係者が参加、2018年2月に実験を実施した。
道内の地方部では「利用者減少による路線バスの採算性悪化」や「買物拠点の減少」といった問題が顕在化しており、同実験では「持続可能な地域公共交通」と「住民の買物利便性と定住環境の確保」のあり方を探る目的を持っていた。
検討会では、北海道運輸局交通政策部の担当官は「道内では人口密度が希薄な地域とともに、日常の買物が困難な人も増えている。貨客混載バスのスキームをさらに発展させ、買物支援サービスを試行する。これは全国初の取り組みとなり、実験での知見をもとに実施地域の拡大を図っていきたい」と述べていた。
また、朝日商工会の役員は「朝日地区では食料品以外を扱う店舗はほぼなくなり、住民の半分以上が市街地で買物をしているのが実態。高齢者や自動車を保有していない住民も多いので、商工会としても今回の実験に賛同し、協力していきたい」と語り、士別市役所総務部総合企画室の担当者は「住民の高齢化の進展が今後も予想される中、買物の利便性が高まる取り組みはありがたい」と話していた。