デンソーとデンソーソリューションは8月29日、札幌パークホテルでフリートセミナー2019「クルマ社会、新時代到来!輸送業界におけるソリューション」を開催、各種講演のほか、デンソーグループや提携企業が展開する安全管理・健康管理・労務管理・業務効率化などに関する多くのシステムを会場に展示した。昨年後は北海道胆振東部地震と大規模停電の影響で中止となり、北海道では2年ぶりの開催となった。運送事業者ら約200人が参加した。
デンソーソリューションの久米利也社長は「4月にデンソーセールス、デンソーテン販売、デンソーテンサービスが統合し、新たなスタートをきった。自動車業界はCACE、MaaSなどの展開が急速に進み、事業環境が大きく変化している。あわせて、ドライバーの健康・安全管理、効率化など様々なニーズが出てきている。北海道は都市間距離が長く、冬期は雪害により運行に支障が出る環境。お客様の新たな困りごとに対し、グループの技術力を結集し、価値の高いソリューションを提供して貢献することが使命と捉えている。新生デンソーソリューションに期待をしていただきたい」と挨拶を述べた。
運送業界専門行政書士の佐々木ひとみ氏が「IT化とマンパワーの住み分けによる、これからの運送業とは」と題して講演。
健康起因事故を予防するため、また、万が一事故が発生した際、会社としてしっかり管理していたことを示すために「出庫前点呼では、アルコールチェックのほか、血圧、体温、健康管理マニュアル等に記載されたチェック項目を必ず確認してほしい。血圧計連動アプリや簡易認知機能テストも有効だ」と述べた。また、「ドライバーの運転状況や運転のクセを確認できるドラレコで安全教育を行ってほしい。運送業界にとって一番身近なIoTだが、うまく活用できていない会社も多い。定期的・継続的に運転特性についてのフォローアップを行ってほしい」と強調した。
「今後、働き方改革に対応し、労働時間の適正な管理や、効率的な配車を行っていくには、リアルタイムで運行・作業進捗状況を把握できるクラウド型の運行管理システムが有効。これからの運送業は、データの収集・分析はシステム・ロボット等に任せ、人間は情報を生かした社員教育や社員への目配りを行うことが求められる。事業者や管理者は、目の前にいる大事な仲間に対し、毎日『いかに体調や精神面を見るか』『いかに声かけをしてケアをするか』が重要。教育と、共に育っていく『共育』ができる会社にしてほしい」と訴えた。
このほか、デンソーテンのコネクティッド事業本部の稲葉一郎副本部長が「広がり行くコネクティッドカーの世界」、クリエイティブオフィスキューの伊藤亜由美社長が「マネジメントとはプロデュース〜北海道における人づくり・モノづくり・地域づくり」と題して講演した。