セコマ(丸谷智保社長、札幌市中央区)は4月3日、日本出版販売(平林彰社長、東京都千代田区)が取り扱う出版物を、同15日から北海道内のセコマグループ店舗(2019年2月末時点1158店)に、グループの物流網を活用して配送を開始すると発表した。
この取り組みは、セコマグループの卸・物流事業を担うセイコーフレッシュフーズ(本田竜也社長、札幌市白石区)の物流網を活用する。
「コンビニエンストアへの出版物配送における出版専用便以外を利用する全国初の試み」となる。
出版業界の輸配送は、「トラックドライバーの不足」「物流コストの上昇」「流通量の減少による効率悪化」など、多くの問題を抱えており、特に、首都圏からの距離が遠く、かつ広域という特有の課題を抱える北海道地区においては、「持続可能な出版物配送網の開発」が急務とされてきた。
こうした背景のもと、日販からセコマが要請を受け、両社で新たな物流網の構築を目指すことに合意し、共同配送についての検討を進めてきた。
セコマグループは、道内15カ所の物流センターを有し、北海道において1日200台以上の配送車で7万km以上を走行し、175 市町村に展開する店舗へのフルライン配送、道内21カ所の食品工場や6カ所の農業生産法人、取引先からの引き取りを実現している。
日販は従来、出版物については専用の配送網を利用し、CVS・書店等の小売店に納品してきたが、この度開始する共同配送により、北海道地区のセコマグループ店舗への納品については、セイコーフレッシュフーズの配送網を活用する。
出版物について、このような規模で出版専用便以外を利用して共同配送を行うのは、「業界初の画期的な試み」となるという。
出版物の流通量は、今後も減少が予測されており、日販では、全国各地への出版物配送を継続するためには、各地域の特性を熟知したパートナー企業と協力し、他業界・他商材との共同配送を行っていく必要があるとしている。
両社は、今後も共同物流を始め地域物流のパートナーとして新たな取り組みを進めていくとしている。
[解説]
北海道では、「地方部への小ロット貨物の輸配送」が非効率となりがちで、この対応が大きな課題となっている。書籍の混載輸送は、既存の物流インフラを活用し、こういった課題の解消に向けたひとつの方策といえる。
昨年3月には、大日本印刷(DNP)グループが、書籍通販サイトで注文された道内の書籍の一部を、清涼飲料との混載により利用者宅等へ配送する取り組みを道内全域ではじめた。
容積・重量ともそれほど大きくはなく、荷姿の制限や荷扱いの慎重さの必要がそれほどない小ロットの書籍は、既存の運行車両を活用した混載輸送が行いやすい側面がある。
「地方部の書籍」に関する物流では、日本出版取次協会が昨年10月に輸送会社から輸送スケジュールに関する要請を受け、今年4月から「中国地方と九州地方」で雑誌・書籍の発売日を遅らせると発表した。
書籍に関する「混載輸送」や「発売スケジュールの変更」といった動きが今後、北海道でも増加・波及する可能性は大いに高いといえる。