ソニーとZMPの合弁会社・エアロセンス(佐部浩太郎社長、東京都文京区)は10月4日、北海道経済産業局の協力のもと、NEDOの「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」のプロジェクトとして、ドローンを用いた緊急医療用品搬送の実証実験を当別町内において同3日に実施したと発表。
実証実験では、携帯電話等の上空利用に係る実用化試験局の免許を取得したソフトバンクの携帯電話網を利用し、ドローンからの映像及び運行制御をセルラー通信で行う目視外飛行の搬送を実現した。官民共同によるドローンプロジェクトの実施は、道内では初めての試み。
山間部及び離島エリアでは現在、活発にドローンが利用されようとしており、全国に先駆けて人口減少・少子高齢化が進む北海道においても、新たな物流手段としてドローンに対する期待が年々高まりつつある。このような中、北海道内におけるドローン利活用に向けた活動を促進することを目的に、「当別町における大規模災害時の対応強化」をテーマに、ドローンによる緊急医療用品搬送の実証実験を実施した。
エアロセンスと当別町が実施主体となり、エアロセンス製「AS-MC03-T(BOX)」を用いた。北海道医療大学、セコマ、ソフトバンクが協力した。
大規模災害時、避難場所までの道路が寸断された事態を想定し、北海道医療大学が提供した緊急医療用品とセコマが提供した軽食の合計1kg程度を積載したドローンを北海道医療大学から避難場所である当別川河川敷へ向け発進。
避難場所に到着後、避難住民は緊急医療用品・軽食を積み下ろすと共に、避難場所の現在情報を入力したスマートフォンを積載し、北海道医療大学へ向けて再飛行。
北海道医療大学にドローンが到着後、避難場所から搬送されてきたスマートフォンに入力されている情報を基に、当別町長が災害時対応を指示した。ドローンの往復距離は約20㎞に及んだ。
当別町では「ドローンを活用した地域振興」に着目し、平成29年に商工課内にドローン係を新設。町内には北海道ドローン協会「当別練習場」を有し、道内におけるドローンオペレータの育成を推進しているほか、ドローンを活用した安心・安全なまちづくりや産業振興等の活動を推進している。