大学生対象「物流企業現場見学会」 ビールのサプライチェーン学ぶ

北海道運輸局は10月19日、道内の大学生を対象とした「物流企業現場見学会」を開催、小樽商科大学、札幌大学、北星学園大学、北海商科大学の学生18人が参加した。
学生は、ビールを対象とし、「原料輸入から製造、消費者に届くまで」のサプライチェーンの一連の流れについて見学し、物流の重要性や社会的な意義などを学んだ。
小樽商科大学、サッポログループ物流、苫小牧港外貿コンテナ事業協同組合、苫小牧港管理組合、苫小牧地区倉庫協会、苫小牧北倉港運、北海商科大学 北海道港運協会が協力した。

苫小牧国際コンテナターミナル内をバスで見学し、同ターミナルの蔵置・シーケンスをコントロールする苫小牧港外貿コンテナ事業協同組合の味村康司専務が施設やコンテナ物流の概要と特徴を説明。学生は、普段は見ることができない積み上がった大量のコンテナのほか、ガントリークレーン、トランスフェークレーン、トップリフターなどを使った実際の荷役作業風景を見学した。
味村専務は、「ターミナルでは、北海道に出入りするコンテナの約70%を扱っている。昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、震源地が10㎞ほど離れた地点だったため、ターミナル内に液状化被害が発生した。北海道のコンテナが集中する拠点であり、麻痺が続くと影響が大きいので、急いで仮復旧を進め、6日後からオープンさせた。未だに復旧工事が手付かずの箇所もある」と話し、震災の爪痕についても紹介した。

この後、港湾関係者の休憩施設ウェルハウス弁天で物流セミナーと会社説明会が行われ、セミナーでは、北海商科大学の相浦宣徳教授、小樽商科大学の小林友彦教授が物流や国際貿易に関する基礎知識について講演。「ビールは原材料をコンテナで輸入し、港からトラックで工場まで運び、製品となった後はトラックや鉄道で全国に運ばれるほか、海外に輸出もされている。製造や物流の拠点、輸送モードが何故このようになっているか考えて欲しい」と呼びかけた。

会社説明会では、苫小牧北倉港運(苫小牧市)とサッポログループ物流北海道支社(恵庭市)が、ビールができるまでの一連の工程と物流が果たす役割を紹介。「モルトがコンテナで海外から運ばれ、船から降ろされ、植物検疫検査、輸入通関などを経て入国し、工場に運ばれる。この間、港湾荷役会社、船の燃料会社、曳船やタグ会社、船員の食材調達、苫小牧港管理組合、通関業者、倉庫業者、商社、トレーラ運送会社、検疫検査協会、苫小牧税関、苫小牧海上保安署、北海道運輸局、機械の整備企業、コンテナ整備企業のほか、多くの企業・団体が関わることでサプライチェーンが成り立っている」と説明した。

また、ビール工場内での製品保管・出荷に関して「入庫、保管、荷揃え・流通加工、出庫、輸配送という流れを情報管理している。輸送効率を高めるため、他の酒類メーカーと共同配送を行っている」とし、2017年9月から行われている「道東地区でのビール4社の共同配送」の取り組みも紹介した。
この後、恵庭市にあるサッポロビール北海道工場に移動し、ビール製造の工程について学んだほか、荷役作業現場でトラックへの積み込み作業などを見学した。

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