JL北海等地域本部女性部会(戸出優子部会長、道東運輸)は10月19日、北海道トラック総合研修センターでセミナーを開き、睡眠に関する基礎知識、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の危険性や治療の重要性を学ぶとともに、意見交換を行った。
フィリップス・ジャパンの睡眠マネージャー・川原孝宣氏が睡眠についての現状や各種研究・調査結果について講演し、「日本は世界各国と比べ、平均睡眠時間が最も短い。女性は家事や育児などで睡眠時間が削られ、男性よりも睡眠に不満をもつ割合が高く、30代女性の90%が睡眠に不満を持っているという調査結果もある。良い睡眠は、健康増進のほか、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待されるため、従業員に向けて睡眠に対する報償制度を設けている企業もある」などと話した。
意見交換では、「アルコールチェックとは違い、眠気についてはドライバーごとに個人差があり、数値で示せず、客観的な評価が難しい」との声があがり、講師がSASのスクリーニング検査や治療の有効性を説明。「統計的にスクリーニング検査では半分くらいが引っかかり、精密検査をするとそのうちの4割がSASと診断される。ドライバーの2割がSASという計算だ。SASは病気であり、治療法が確立されている。治療を行わないと治ることはなく、放っておくと会社、本人や家族、社会ともにリスクがある。人間は、がんや脳・心疾患など命に関わる大きな疾病ならすぐに治療を行うが、SASはじわじわと体を弱らせていくので予防や治療が後回しにされがちになる」と指摘。「経営トップが『SASは直していく』とメッセージを発し、まずは検査を徹底させてほしい」と訴えた。
戸出部会長は「SASは病気ではないと考える風潮があるが、そうではない。経営トップ、ドライバーともにSASについての正しい知識を知り、検査と治療の重要性を自覚してもらいたい。また、健康経営の推進の重要性が認知される中、トラック運送業界としても、SASスクリーニング検査への助成をより手厚くするよう働きかけを行っていくべき」と述べた。