北海道運輸局は11月2日、北海道立道民活動センターで「自動車事故防止セミナー」を開催した。事業用自動車の事故防止を目的に自動車運送事業に携わる関係者を対象としたもの。
国交省自動車局安全政策課長の永井啓文氏が「事業用自動車総合安全プラン2025取組の最新状況について~プロドライバーがいつまでも元気に誇りをもって働ける世の中を目指して」と題して講演。
「事業用自動車の交通事故件数は過去10年間で半減し、交通事故死者数も右肩下がりのトレンドだが、トラックは令和3・4年と事故件数が増加している。コロナ禍で小口配送が増加した影響で軽貨物の事故が急増しており、この点を危惧している。物流政策パッケージにも盛り込んだが、軽貨物事業者の安全対策強化を行う必要があり、法改正を含めた規制強化を検討している」と説明。
また、事業用自動車による飲酒運転事故のほとんどがトラックによるものだと指摘し、「トラックの飲酒事故件数は下げ止まっておりなかなか減らない。プロドライバーとしてあってはならないと認識し、固い決意のもと、ゼロにしてもらわなければならない」と訴えた。
このほか、事業用自動車総合安全プラン2025の概要や取り組み内容を説明し、「運行管理の中核を担う点呼制度はICTの活用でかなり抜本的に変わってきている。同一事業者間での遠隔点呼はかなりフレキシブルにできる環境となり、点呼の自動化・遠隔化を今後も進め、将来的に一元化して、『事業者間の共同運行管理』ができるように考えている」と述べた。
北海道労働保健管理協会産業保健部長の國澤しおり氏が「健康起因事故を防ぐために~今日から始める健康づくり」と題して講演し、「健康起因事故の多くは動脈硬化と関連しており、予防には食事、運動、禁煙など日々の生活習慣が大切。健康起因事故を防ぐには、健康診断の受診、二次検査の受診、適切な治療の継続、始業前の体調確認が必要」と講演したほか、北海道労働局労働基準監督部監督課特別司法監督官の渡辺英樹氏が自動車運転者の時間外労働上限規制と改正改善基準告示について説明した。