北海道物流人倶楽部 第45回例会 「物流のモジュール化」「物効法の有用性」テーマに講演

北海道物流人倶楽部(斉藤博之代表幹事)は11月11日、札幌第一ホテルで第45回目の例会を開き、荷主企業、物流子会社、運送会社、システム企業、人材派遣会社、フェリー会社、不動産開発会社、業界団体、行政などから80人が参加。
同倶楽部の事務局を務めている北海道物流開発(札幌市西区)の斉藤会長、丸吉ロジ(北広島市)の吉谷隆昭社長の両氏が講演を行った。

斉藤氏は「物流効率化事業の推進状況〜物流のオープンイノベーションによる北海道経済の活性化」と題して講演。
「北海道地区のアイスクリームの共同配送を約25年間手がけているが、この10年間での北海道経済の縮小、地方部の疲弊がよくわかる。20年前は道央とその他の地方の配送比率はだいたい半々だったが、近年は8対2で地方部が圧倒的に少ない。広い配送距離にもかかわらず、物量が減り、SOx規制により来年からフェリー料金も値上がりするため、『北海道には商品売りたくない』という荷主の声も実際に出ている。このような中、『当たり前にモノが届く』ことが非常に重要な価値であると示したい。『地域の発展のため、物流に何が出来るか』『物流によって北海道経済を変えていく』という視点で様々な取り組みを進めている」と述べた。

この一つのアプローチとして実験を進めている「物流のモジュール化」の取り組みを解説、IoTを活用して、パレットやロールボックス単位で物流をコントロールする仕組みを紹介した。「モジュールに各種センサーを取り付け、位置、稼働状況、温度や湿度などの情報をリアルタイムでトラッキングし、多くの物流事業者の間で共有できるシステムの構築を進めている。『荷台の空きスペースにモジュールを積む』ことが広く行われれば、車両の積載率が上がり、1モジュールあたりの物流コストも低減できる。冷凍機能のあるロールボックスを活用すれば、平ボディーでもアイスクリームが運べるようになる。遠くない将来、事業ベースに乗せる計画で、トラック1台で一種類の荷物を運ぶという慣習を大きく変え、物流から北海道の活性化に取り組んでいく」と説明。

また、貨物・車両情報などを管理する「物流の予約センター」の構想を示し、「配送頻度や予約時期による価格変動ができるようになるほか、輸送計画の最適化も図れる」と述べ、これらのデータを荷主側に示すことで、「物流企業が『情報をもらう側から、情報を出す側』へと変わる。『荷主からの依頼を受けて運ぶ』立場から、『そろそろこの商品を運びましょう』と物流主導でサプライチェーンをコントロールできる立場へと変わる。こういったノウハウを波及させ、地域全体で効率的な物流の仕組みを創り上げたい」と述べた。

吉谷社長は「物効法を活用した丸吉流経営改革」と題して、ドライバーの労働時間削減と労働環境改善を図る様々な取り組みと、物効法の有用性について説明。
トレーラの運転・トラックへの荷役・倉庫内のクレーン操作・庫内作業など1人で多くの仕事をこなす人材のマルチプレーヤー化、アコーディオン式ホロシャーシの導入によるシート掛け時間の大幅短縮と女性ドライバーの採用、長さ10メートル・27トン積載シャーシの導入、運送・倉庫・サプラチェーン管理を一括運用することでのスムーズな現場改善など、働き方改革に資する実際の取り組みを紹介。
「こういった物流改善の取り組みの多くは、荷主企業と一体となって協議して取り組んでおり、この際に物効法の認定が非常に効果的だった。荷主も物流維持に強い関心を持っており、ドライバーの労働時間や負荷削減に大きな配慮をしてもらっている。『1日の稼働時間や走行距離を予め設定し、これを超過した場合、別途運賃・料金を請求する契約』や『荷主と協調した設備投資』なども実現でき、物効法は『荷主と共に物流改善を行う有効な枠組み』である。今後も継続して認定を取っていきたい」と話した。

また、「待機時間が削減できれば、ドライバーの労働時間は他産業並みとなる。将来的には、物流センターにシャワーやドリンクバーなどを備えた『ドライバーズサロン』を設け、入出荷に来たドライバーにここで休んでもらうようにしたい。ドライバーの労働環境を改善することで、この業界の魅力をより高めていきたい」と述べた。

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