石狩商工会議所と石狩市は11月21日、花川北コミュニティセンターで「石狩湾新興地域物流講演会・交流会」を開催した。石狩湾新港管理組合、石狩湾新港企業団地連絡協議会、石狩新港運送事業協同組合が後援。物流企業や荷主企業など65社から120人あまりが参加した。
約630社(立地700社)が集積し、道央圏の生産・流通拠点となっている石狩湾新港地域における物流の推進及び石狩湾新港の可能性について理解を深めてもらう内容で、エース(石狩市)の林博己会長が「物流変革期の事業拡大について」、札幌大学の千葉博正名誉教授が「道内物流の課題と石狩湾新港の可能性」をテーマとしてそれぞれ講演を行った。
林氏は「昭和59年6月にトラック7台で創業した。当時は質の悪い『運ちゃん』といったドライバーが多かった。ドライバーは宝であり、最後のセールスマン。ラスト1マイルのサービスの質はドライバーにかかってくる。変なドライバーをお客様のところに向けられないので、社員教育を徹底して行ってきた。また、家族的経営を行っており、各拠点に年3回飲み会を開くよう業務命令をしている」と説明。実際に同社で行っている教育や懇親会などの多くの映像を紹介した。
また、昨年の北海道胆振東部地震の際のエピソードを披露し、「発災当日から、何も言わなくても、全員が普通に出勤し、普通に仕事をしていた。『お客様に最高の物流を提供し、お客様の発展のお手伝いをする』という考えが浸透し、自ら主体的に考え、動くようになっていた状況を見て嬉しかった。お客様からも『困った時のエース』と非常に喜ばれた」と振り返り、「衣食住に関わるもので、トラックで運ばれていないものはない。物流は人々のインフラを守る仕事」と持論を述べた。
千葉氏は、北海道の物流の概況や主な課題をまとめ、「道内の輸送量はこの30年間で約43%減少し、とりわけ鉄道の割合が大きく減っている」と報告。北海道新幹線と貨物列車の青函共用問題、JR北海道の経営問題について解説し、JR北海道を「多角経営を行う札幌圏事業部」「鉄道を上下分離する北海道事業部」「貨物輸送も行う北海道新幹線事業部」の3事業部体制とし、北海道新幹線事業部ではコンテナを在来線の貨物列車から新幹線車両に積み替える「コンテナ新幹線」を運行させることののメリットを強調した。
このほか、シンガポールやマレーシアなど海外主要港湾の現状を説明し、「施設の利用料金を廉価に抑え、主要船社の勧誘を行っている」ことを紹介した。