北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会 実証事業で「昨年度のフォローアップ」と「北ト協会員アンケート」

北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長・千葉博正札幌大学名誉教授)は11月10日、北海道トラック総合研修センターでオンライン併用により開催し、今年度の実証事業について事務局が説明した。
今年度の実証事業は、「昨年度の実証事業(大手スーパーの店舗配送)のフォローアップ調査」を行うほか、新たに荷主と運送事業者の関係性を調べるために、「北ト協会員へのアンケート調査」を行う。

フォローアップ調査では、「配送スキームを大きく変えた大手スーパー(アークスグループ)の加工食品・飲料・菓子の店舗配送」を対象として、生産性向上・労働環境改善などの効果検証を引き続き行う。
昨年度と同様に「着荷主にアークスグループ(ラルズ・東光ストア)」「配送事業者(元請)にエア・ウォーター物流」「物流センターに三菱食品」「発荷主に加工食品メーカー・ベンダーなど」が参画し、昨年6月に転換した配送スキームの運用状況や課題解決の方策を分析・検討する。 

これまでアークスグループでは、「各ベンダーが昼12時までの発注を受け、店別仕分けを行い、納品のトラックを手配してセンターに配送」した後、「センターで各店舗分の商品を配送トラックに積み込み、その日の夕方から夜にかけて店舗に配送する」スキームだった。

これを「昼12時までの発注を受け、店舗配送を終えたトラックがベンダーまで引取りに向かい、そのままセンターに納品」し、「センターで店舗別自動仕分けが可能なマテハンを活用して仕分け」を実施、そして、「翌日の早朝から昼にかけて店舗に配送(その後、ベンダーに引取りに行き、センターに納品する)」するというスキームに切り替えた。

大きく「店舗配送後のトラックがベンダーへの引取り・センター納品を行うことで、ベンダーによるトラックの手配がなくなった」「センターで店別仕分けをマテハンを活用して行うことで、ベンダーによる仕分けの必要がなくなった」「リードタイムを当日から翌日に伸ばした」などが変更点。

この結果、昨年度の実証事業では「サプライチェーン全体でのトラックの走行距離が13.3%減少」したほか、「トラックの実車率が4.6%向上(53.6%から58.2%へ)」「積載率が14.7%向上(26.0%から40.7%へ)」「ベンダーでの作業人時(MH)が49%減少」といった効果が確認できた。

一方で、「センターでの作業人時(MH)の増加」「センターに支払うフィー(センターフィー・受託フィー)の増加」「マテハン機器の投資コスト回収」「納品時間の変更による店舗側での作業スケジュールの見直し」といった課題も確認され、「発着荷主・物流センター・物流事業者が横並びの状態で配送スキームの課題解決に向けたイーブンな協議の場の構築」と「本来的に必要な集荷時間・納品時間の再確認などリードタイムの設定条件の確認」が必要とまとめられた。

今年度は同配送スキームについて、「トラックの走行距離・実車率・積載率」をはじめ、「ドライバーの拘束時間・必要人数・体力的負担」「ベンダー・センター・店舗での作業人員」といったデータ分析を行うほか、関係者へのヒアリングを通じて、実態把握と効果検証を進める。

「アンケート調査」では「荷主との運賃・燃料サーチャージ・付帯作業などの料金収受に関する交渉の状況」「荷主との定期的な協議の機械の有無」「時間外労働上限規制の影響」などを北ト協会員に聞き、課題解決に向けた方向性を検証する。

北海道運輸局の岩城宏幸局長は「トラック運送業は欠かすことのできない基本的なインフラであり、ドライバーはエッセンシャルワーカーとして社会的に広く認められている。しかし、取引環境の改善は、トラック事業者の努力だけでは解決が困難。荷主を含めた関係者の協力が必要だと理解を求めていきたい。改善基準告示の改正、時間外労働の上限規制を一つの契機とし、魅力ある産業を目指して取り組んでいきたい」と挨拶を述べた。

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