KCCSと北大 中速・中型自動配送ロボットによる準公道での雪上走行試験に成功 国内初事例

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)と北海道大学(北大)は国内で初めて、雪上を走行する中速・中型自動配送ロボットの共同開発と準公道での走行試験を進めており、いずれも成功した。これに伴い、2月15日に北海道大学でメディア向けデモンストレーションを開催した。

KCCSは、2021年から石狩市を中心に無人自動配送ロボットの技術検証を行っており、北海道で走行技術の検証を行うにあたって、積雪や降雪環境下での走行が不可欠になっていたため、2022年度から北大大学院工学研究院の江丸貴紀准教授と共同開発を行っていた。

実験は、北大構内の他車交通のある準公道で実施。工学部棟西側エリア(総距離1・1㌔㍍)と、北大メイン道路+北部エリア(総距離4・0㌔㍍)で同16日まで実施。江丸准教授が研究する「積雪・降雪環境でのAIによるノイズ除去技術」を取り入れ、「積雪・降雪の悪環境を走行する無人自動配送ロボット」の共同開発を進めた。

降雪時の雪粒を障害物と検知して停車してしまうなどの課題のほか、積雪・降雪環境で「道路が狭くなる」などの変化した周辺環境から自己位置推定が不安定になる課題、降雪時のカメラへの着雪による視界不良となる課題などの改良を行った。

自動配送ロボットは、ミニカー(長さ2・5㍍以下、幅1・3㍍以下、高さ2㍍以下、最大速度時速15㌔㍍以下)をベースとして、今回独自に開発。車両重量は約700㌔㌘で、約90㌔㌘の荷物が運べる。スタッドレスタイヤを履き、毎時3㌢㍍程度の降雪状況でも配送ができることを確認した。
北大メイン道路で行われたデモでは、歩行者が急に飛び出して、ロボットが自動停止する様子も公開された。

KCCSモビリティ事業企画課の水迫浩昭課長は「一般道で走るにはまだ課題が多いが、人も車もいる準公道での雪上走行に成功し、少し社会実装に近づいた。低速・小型の自動配送は規制緩和が進んでいるが、中速・中型は法律や規制が厳しく、社会実装までにはまだ5〜10年くらいかかると考えている」と話した。

江丸准教授は、「自動運転技術は非積雪環境への対応が進んでいなかったが、今回、降雪時、雪上での自動走行が安全に行えることが確認できた」と述べた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする