北海道運輸交通審議会(会長=吉見宏・北海道大学大学院経済学研究院教授)が1月10日、ホテルポールスター札幌で開催された。
北海道の運輸交通施策の総合的な促進を図るために設置された北海道知事の諮問機関で、運輸事業者、労働組合、利用者団体、地方自治体、経済団体、学識経験者などから選任された委員15人で構成、物流業界からは北ト協の野村佳史理事(丸日日諸産業)、北海道船主協会連合会の忠地宣忠会長(三井商船フェリー)らが委員として出席、JR貨物北海道支社の柏井省吾支社長が参与として出席した。
「北海道交通政策総合指針の重点戦略」「北海道航空ネットワークビジョン」に係るこの2年間の主要な動きについて報告があったほか、北海道が示した「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の案などについて議論した。
「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」では、「国鉄改革の際に定められた線路使用料のスキームは、線路を維持する人員の人件費や青函トンネル区間の三線軌条の維持管理にかかるコストなどが対象外となっているなど、貨物輸送によって生じていると考えられるコストを回収しきれない状況」としたほか、「本道においては、貨物列車の走行割合が他地域に比べて高い」「経営基盤の脆弱なJR北海道においては、貨物列車の運行に必要な設備投資や修繕費が大きな負担となっている」とし、「荷主等への影響にも十分配慮しながら、適切な支援方策を検討し、JR北海道の負担軽減を図る」と示した。
また、青函トンネルについて「全国各地への農産物等の輸送などを担う重要な国家的社会基盤」であり、「レールなどの取替資産の更新等については、JR北海道が負担することとなっており、経営上大きな負担」のため、「全国的な交通・物流ネットワーク構築の観点から、コスト負担の見直し」を検討するよう示した。
JR貨物の柏井支社長は「貨物は旅客と同じ鉄路を使って輸送し、『道民の生活を支える』『北海道からの食料供給を担う』という役割があり、この理解も進んでいる。将来のあり方について、襟を正して頑張っていく所存」と話した。
吉見会長は「道がまとめた鉄道網維持に関する案について議論を行ったが、地域がどのように鉄道ネットワークの維持に関わっていくのか、今後さらに考えなければならない。ドライバー不足が深刻化する中、北海道のあるべき交通網を考えるタイミングに来ている。既存の制度の中だけではなく、地域交通の維持について、北海道が新しいモデルをつくっていくことも重要。説得力のある形とし、今後、オール北海道で努力していくことが求められる」と述べた。